コラム

公開日 2026.07.13 更新日 2026.07.13

アパート経営の税金はいくら?種類と計算方法・節税のコツを解説

アパート経営では、取得時・保有中・売却時の各段階で税金が発生し、家賃収入に対する所得税や住民税、固定資産税、消費税などの理解が欠かせません。
仕組みを知らないまま運用すると、納税漏れや想定外の負担につながることもあります。

本記事では、アパート経営でかかる税金の種類、計算方法、節税の基本、確定申告時の注意点を解説します。
これから始める方も、見直したい方も参考にしてください。

アパート経営でかかる税金の全体像と種類一覧

アパート経営では、物件の取得時、保有中、売却時にそれぞれ異なる税金が発生します。
税目ごとの発生時期や計算方法を把握しておくことで、納税漏れや資金計画のずれを防ぎやすくなるでしょう。

ここでは、アパート経営でかかる税金の全体像と種類一覧を紹介します。

取得時・保有中・売却時に分けて確認

アパート経営の税金は、発生するタイミングごとに分けて考えると整理しやすくなります。
取得時には不動産取得税、登録免許税、印紙税などがかかり、保有中は固定資産税や都市計画税、家賃収入に対する所得税・住民税が中心です。
さらに、事業規模によっては個人事業税や消費税も関係します。

売却時は、売却益に対する譲渡所得税を確認する必要があるため、各段階の税負担を事前に見込んでおきましょう
初期費用と毎年の税金を分けると、資金繰りも管理しやすくなります。

個人と法人で異なる課税の仕組み

アパート経営は、個人で行うか法人で行うかによって課税の仕組みが異なります。
個人の場合、不動産所得は給与など他の所得と合算され、所得が増えるほど税率が上がる累進課税の対象です。

一方、法人では法人税などが課され、一定の利益水準を超えると個人より税負担を抑えやすい場合があります。
ただし、法人化には設立費用や維持コストもかかるため、経営規模や将来計画に合わせて判断しましょう。
手残りや相続対策にも影響するため、早めの比較が欠かせません。

アパート保有で毎年課される固定資産税と都市計画税

アパートを保有している間は、毎年固定資産税が発生し、地域によっては都市計画税も課されます。
これらは土地や建物の評価額をもとに算出されるため、収支計画に直接影響するのです。

ここでは、アパート保有で毎年課される固定資産税と都市計画税を解説します。

固定資産税の計算方法と税率

固定資産税は、原則として固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛けて計算します。
評価額は自治体が土地や建物ごとに算定する金額で、実際の売買価格とは異なります。
また、税率は自治体によって異なる場合があるほか、住宅用地特例や新築住宅の減額措置が適用されると税額が変わるのです。

そのため、正確な負担を知るには、課税明細書や納税通知書を確認し、土地と建物を分けて試算することが大切です
特例の適用条件も、自治体の資料で確認しておきましょう。

都市計画税が課される対象エリア

都市計画税は、すべての土地や建物に課されるわけではありません。
原則として、市街化区域内にある土地や建物が対象となり、都市計画事業や土地区画整理事業などの費用に充てられます。
対象かどうかは物件所在地によって異なるため、購入前に自治体の都市計画図や課税明細を確認しましょう。

また、固定資産税とあわせて毎年発生する場合があるため、都市計画税の有無も収支計画に含める必要があります。
エリアの違いで税額が変わる点を押さえることが重要です。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額を確認するには、自治体から届く固定資産税納税通知書や課税明細書を見る方法が一般的です。
土地と建物ごとの評価額、課税標準額、税額が記載されているため、保有コストの把握に役立ちます。
もし、通知書を紛失した場合は、市区町村の資産税課などで名寄帳や評価証明書を取得できることがあります。

また、評価額は定期的に見直されるため、購入時だけでなく保有中も最新の内容を確認しましょう。
評価額を定期的に確認すれば、翌年度以降の税負担も見込みやすくなります。

家賃収入など経営の利益に課税される税金

アパート経営で得た家賃収入や更新料などは、経費を差し引いた利益に応じて課税されます。
所得税・住民税のほか、規模や取引内容によって個人事業税や消費税が関係する場合もあるのです。

ここでは、家賃収入など経営の利益に課税される税金を解説します。

不動産所得にかかる所得税

所得税は、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得に対して課されます。
不動産所得は給与所得などと合算される総合課税の対象となるため、他の収入が多いほど税率が高くなる場合があるのです。

また、必要経費には管理費、修繕費、ローン利息、固定資産税、減価償却費などが含まれます。
経費の根拠を示せるよう、領収書や契約書、帳簿を整理し、計上漏れや過大計上を防ぐことが重要です
経費と所得の整理が、節税と正確な申告の土台になります。

地方自治体に納める住民税

住民税は、前年の所得をもとに都道府県と市区町村へ納める税金です。
アパート経営では、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得が計算対象となり、給与所得などと合わせて税額が決まります。
所得割は一般的に10%程度が目安ですが、均等割など定額部分もあります。

また、納付方法は給与から天引きされる特別徴収と、自分で納める普通徴収があるため、副業の場合は納付方法も確認が必要です。
翌年に負担が出る税金として、納税時期も見込んでおきましょう。

事業規模で発生する個人事業税

個人事業税は、アパート経営が一定の規模にある場合に課される地方税です。
不動産貸付業の認定基準は自治体によって異なり、東京都では、住宅の一戸建は10棟以上、一戸建以外は10室以上などの基準が示されています。
また、税率は不動産貸付業で5%とされることが多く、事業主控除を差し引いた所得に対して課税されます。

ただし、判断基準や取り扱いは所在地の自治体によって異なるため、規模を拡大する際は事前に確認しておきましょう。
事業拡大を考える場合は、所得税や住民税とあわせて、個人事業税の負担も見込んでおくことが大切です。

課税対象となる消費税の条件

アパート経営では、住居用として貸し付ける家賃は原則として消費税の非課税取引です。
一方、店舗や事務所、事業用駐車場などの収入は課税売上に含まれる場合があります。

また、課税売上高が基準期間で1,000万円を超えると、原則として消費税の納税義務が生じます。
住宅部分と事業用部分が混在する物件では判定が複雑になりやすいため、契約内容や売上区分を整理し、必要に応じて税理士へ相談しましょう。
課税売上と非課税売上を分けて管理することが大切です。

アパート取得・建築時に発生する税金

アパートを購入・建築する際は、物件価格や建築費とは別に複数の税金が発生します。
主なものは不動産取得税、登録免許税、印紙税で、初期費用に大きく影響するのです。

ここでは、アパート取得・建築時に発生する税金を解説します。

不動産取得税の仕組みと軽減措置

不動産取得税は、土地や建物を取得したときに1度だけ課される地方税です。
原則として固定資産税評価額に税率を掛けて計算しますが、住宅用の建物や土地では一定の要件を満たすと軽減措置を受けられる場合があります。

また、新築か中古か、床面積や用途、取得時期によって適用条件が変わるため、購入前に確認しておくことが重要です。
さらに、軽減を受けるには申請が必要なケースもあるため、都道府県の案内も確認しましょう。
納税通知が届く時期も把握しておくと安心です。

登録免許税と印紙税の取り扱い

登録免許税は、所有権移転登記や保存登記、抵当権設定登記などを行う際にかかる税金です。
税額は登記の種類や固定資産税評価額、借入金額などによって変わります。

一方、印紙税は売買契約書や建築請負契約書など、一定の課税文書を作成する際に必要です。
いずれも取得時の諸費用として見落としやすいため、司法書士費用や仲介手数料とあわせて事前に試算し、資金計画へ組み込んでおきましょう
契約前に概算を出しておくと、初期費用の不足を防ぎやすくなります。

アパート経営で実践したい節税のコツ

アパート経営の税負担を抑えるには、制度を正しく理解し、経費計上や減価償却、申告方法を適切に管理することが大切です。
基本を押さえれば、継続的な収益管理にも役立ちます。

ここでは、アパート経営で実践したい節税のコツを解説します。

経費を漏れなく計上する基本ルール

経費を漏れなく計上するには、アパート経営に関係する支出を日々記録し、領収書や請求書を保管しておくことが基本です。
管理費、修繕費、保険料、ローン利息、広告料、固定資産税などは代表的な経費ですが、私的支出を混ぜると税務上否認されるおそれがあります。

もし、自宅や自家用車を1部使う場合は、使用実態に応じて按分しましょう。
また、毎月帳簿を整えることで、確定申告時の漏れや誤りを防ぎやすくなります。
支出の分類を統一しておくと、税理士への相談もスムーズです。

木造アパートの減価償却を活用する

木造アパートでは、建物部分の取得費を法定耐用年数に応じて毎年経費化できます。
木造住宅用建物の法定耐用年数は22年で、新築の場合はその期間にわたり減価償却費を計上するのが基本です。

一方、中古物件では、築年数に応じた耐用年数を算定する必要があります。
減価償却費は実際の支出を伴わない経費として課税所得を抑える効果がありますが、償却期間終了後は経費が減るため、将来の税負担も見込んでおきましょう。
また、建物価格と土地価格を分けて把握することも重要です。

損益通算で給与所得と相殺する

損益通算とは、不動産所得で生じた赤字を給与所得など他の所得と合算できる仕組みです。
修繕費や減価償却費が大きい年に不動産所得が赤字になると、全体の課税所得が下がり、所得税や住民税の負担を抑えられる場合があります。

ただし、土地取得に関する借入金利息など、損益通算の対象から除外される費用もあります。
赤字の内容によって扱いが変わるため、申告前に内訳を整理しておきましょう。
さらに、節税効果だけでなく、実際のキャッシュフローも確認が必要です。

青色申告で得られる4つのメリット

青色申告を選ぶと、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除を受けられるほか、家族への給与を必要経費にできる青色事業専従者給与、赤字の繰越控除などを活用できる場合があります。
さらに、複式簿記で帳簿を整えることで、経営状況を把握しやすくなる点もメリットです。

ただし、期限内の届出や帳簿保存などの要件があるため、白色申告との違いを理解したうえで準備を進めましょう。
事業規模によって使える内容が変わる点にも注意が必要です。

収益拡大後に検討したい法人化

アパート経営の収益が拡大した場合は、法人化によって税負担や資産承継の設計を見直せる可能性があります。
法人では役員報酬や退職金、経費計上の範囲などを活用しやすくなる一方、設立費用、決算申告費用、社会保険料などの負担も発生します。

そのため、個人の所得税率が高くなっている場合でも、必ず法人化が有利とは限りません。
将来の投資計画や相続対策も含め、税理士とシミュレーションして判断しましょう
税金以外の事務負担も含めて比較することが大切です。

まとめ:アパート経営の税金と節税のポイントを押さえよう

アパート経営では、不動産取得税や登録免許税などの取得時の税金、固定資産税・都市計画税などの保有中の税金、売却時の譲渡所得税まで幅広い税負担を把握する必要があります。
さらに、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得には所得税や住民税がかかり、規模や用途によっては個人事業税や消費税も関係します。

しかし、経費計上、減価償却、青色申告、損益通算などを正しく活用すれば、手元に残る利益を守りやすくなります。
税額は物件や所得状況で大きく変わるため、早めに税理士などへ相談し、無理のない収支計画を立てましょう。
毎年の申告に備えて、領収書や契約書も整理しておくと安心です。