コラム

公開日 2026.07.13 更新日 2026.07.13

生前の土地相続と贈与はどっちが得?税金比較とメリット・デメリット解説

土地を生前贈与するか相続で引き継ぐかは、税金だけでなく家族関係や将来の土地活用にも関わる重要な判断です。
生前贈与には早めに財産を移せる利点がある一方、相続では基礎控除や小規模宅地等の特例を使える可能性があります。

本記事では、生前の土地相続と贈与はどっちが特なのかや税金や費用の比較、メリット・デメリットについて解説します。
大切な土地を将来に向けて安心して引き継ぐために、早めに基礎知識を身につけておきましょう。

目次

土地は生前贈与と相続どちらがお得?税負担で徹底比較

土地を生前贈与するか相続で受け継ぐかは、贈与税だけでなく登録免許税や不動産取得税まで含めて比べる必要があるものです。
以下では、土地は生前贈与と相続どちらがお得なのかという疑問に対して、税負担で比較していきます。

相続時精算課税制度なら2500万円まで贈与税が非課税

相続時精算課税制度を使えば、親から子への土地の生前贈与について2,500万円まで贈与税がかからずに済みます。
通常の贈与では、年間110万円を超えると贈与税が発生しますが、この制度を選択すれば、2,500万円まではまとめて贈与しても非課税となります。

ただし、2,500万円を超えた部分には一律20%の税率がかかる点に注意が必要です。
また、この制度を使うと、将来その親が亡くなった際に、過去に贈与した分も含めて相続税の計算対象となります
制度の利用には税務署への届け出が必要で、一度選ぶと通常の暦年贈与には戻せません。

相続なら基礎控除や各種特例で大幅な節税が可能

相続で土地を取得する場合、基礎控除や各種特例が利用できるため、大幅な節税が期待できます。
基礎控除とは、相続財産のうち一定額まで税金がかからない仕組みで、遺産総額が基礎控除内なら相続税は不要です。
さらに、土地の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例や、配偶者に対する税額軽減など、実際の税負担を大きく下げる制度が多数あります。

これらの特例は、生前贈与では使えないため、相続を選ぶことで節税効果が高まることが多いでしょう。

登録免許税の税率は生前贈与と相続で異なる

土地の名義を変更する際にかかる登録免許税は、生前贈与と相続で税率が大きく異なります。
生前贈与の場合は土地の評価額に対して2%、相続の場合は0.4%が基本となり、生前贈与の方が負担が重くなるのが一般的です。

登録免許税とは、法務局で名義変更登記をする際に国へ納める税金であり、土地の固定資産評価額をもとに計算されます。
この税率の差は、相続を優遇している国の税制方針によるものです。

生前贈与では不動産取得税の納付が必要

生前に土地を贈与する場合、受け取った人は必ず不動産取得税を納める必要があります。
これは土地や建物を贈与や売買などで取得した際に課される地方税の一つで、相続で取得した場合にはかかりません。

不動産取得税の税率は、土地の場合は原則として固定資産税評価額の3%です。
例えば評価額が2,000万円の土地なら、60万円の税金が必要となります。

また、住宅用地や特定の条件を満たす場合には軽減措置が適用されることもありますが、贈与のケースでは適用外となる場合も多いため、事前に自治体に確認しておくことが重要です。

結論:どちらが得かは家庭の状況によって変わる

生前に土地を贈与するか、相続で引き継ぐかは、家庭ごとの事情や資産状況によって最適な方法が異なります。
生前贈与は、特定の人へ確実に財産を渡したい場合や、将来の相続トラブルを避けたい場合に有効です。
ただし、贈与税や不動産取得税などの負担が大きくなることもあります。

一方、相続の場合は、基礎控除や各種特例を活用すれば税負担を大幅に減らせる可能性が高いです。
しかし、相続人同士でもめるリスクや、被相続人が認知症になると手続きが難しくなる点も無視できません。

どちらを選ぶかは、税負担だけでなく家族の希望や将来設計も含めて総合的に判断しましょう。

土地を生前贈与で引き継ぐメリット

土地の生前贈与には、税負担だけでは測れない実務上の利点があります。
贈与者が元気なうちに相手を選び、名義変更まで済ませられるため、将来の争いや判断能力の低下に備えやすいのです。

ここでは、相手を選べる点、相続争いを防げる点、評価額上昇への備えなど、生前贈与ならではのメリットを順番に見ていきます。

財産を渡したい相手を自由に指定できる

生前贈与なら、土地を渡す相手を贈与者の意思で決められるため、特定の子どもや孫、事情によっては親族以外にも財産を移せます。
相続では法定相続人や遺産分割協議の影響を受けるため、希望どおりに進むとは限りません。

法定相続分だけでは実現しにくい財産配分を望む場合は、生前贈与が有力な選択肢になり得ます

将来の相続トラブルを未然に防げる

生前に土地の受け取り手を決めて登記まで済ませておけば、相続開始後に誰が取得するかをめぐる対立を減らせる傾向があります。
特に兄弟姉妹が多い家庭や再婚家庭では、土地が分けにくい財産であるほど協議が長引きがちです。

他の相続人への説明が不足すると別の不満を生むため、贈与の目的を共有しながら進めることがポイントです。

元気なうちに確実に財産を譲れる

生前贈与は、贈与者が自分の意思を明確に示せるうちに土地を移せる点が大きな強みです。
高齢になると認知症や病気により契約能力が問題となり、思っていた相手へ渡せない事態も起こり得ます。

手続きを急ぎすぎると税負担を見落とすこともあるため、健康状態と資金面の両方を考慮しながら準備しましょう。

土地の評価額が上昇する前に移転できる

再開発や周辺インフラの整備で地価上昇が見込まれる土地は、評価額が低いうちに贈与することで将来の課税対象を抑えられる場合があります。
これは贈与税や相続税が原則として、評価時点の金額を基準に計算されるためです。

将来の値上がりが見込める土地ほど、贈与時期と税額のバランスを専門家と確認する必要性があります。

土地を生前贈与で引き継ぐデメリット

土地の生前贈与は便利な一方で、相続より税金や費用が重くなる場面が多くあります。
贈与税、登録免許税、不動産取得税に加え、相続で使える特例が使えない点も重要です。

ここでは事前に知っておきたい贈与税率の高さ、相続特例を使えない点、登記費用の重さを中心に、失敗しやすいポイントを整理します。

相続税と比べて贈与税の税率が高い

土地を生前贈与すると、年間110万円の基礎控除を超える部分に贈与税がかかり、金額が大きいほど税率も上がります。
親から子への贈与でも高額な土地では負担が重くなりやすく、相続税の基礎控除や各種特例と比べると不利になるケースが目立ちます。

生前贈与を選ぶ前には、相続で取得した場合の税額も試算し、どちらが総合的に有利か見比べましょう

小規模宅地等の特例など節税制度が使えない

生前贈与では、相続時に使える小規模宅地等の特例を適用できない点に注意が必要です。
この特例は一定の居住用や事業用の宅地について評価額を大きく下げる制度で、相続税を大幅に減らせる可能性があります。

自宅や事業用地を引き継ぐ予定がある家庭では、先に贈与することで節税機会を失わないか確認が必要です。

登録免許税の負担が相続より重い

生前贈与で土地の所有権移転登記を行うと、登録免許税は固定資産税評価額の2%となり、相続時の0.4%より高くなります。
評価額2,000万円の土地なら贈与は40万円、相続は8万円となり、差は小さくありません。

生前贈与を検討する際は、登録免許税の差額も資金計画に入れ、相続時の費用と比較しましょう。

土地を相続で引き継ぐメリット

土地を相続で受け継ぐと、税制上の優遇を受けやすいという利点があります。
相続は、基礎控除や課税方式、各種特例の適用により、生前贈与よりも税負担を抑えやすい特徴があります。

ここでは、控除や特例の内容、登録免許税の軽さ、不動産取得税がかからない点を中心に、相続のメリットを整理します。

贈与税より税率が低く控除額も大きい

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があるため、一定額までの遺産には税金がかかりません。
一方、暦年課税による生前贈与では、年間110万円を超える部分が課税対象となります。

土地の評価額が大きい場合ほど、相続税の控除枠や特例を先に確認し、贈与との負担差を比べることが大切です

登録免許税が生前贈与より安く済む

相続で土地の名義変更を行う場合、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で、生前贈与の2%に比べて大幅に低くなります。
評価額3,000万円の土地なら相続は12万円、贈与は60万円となり、差額は48万円です。

土地の名義変更費用を抑えたい場合、相続で引き継ぐ選択が現実的な節約を実現することもあり得ます。

不動産取得税が課税されない

相続により土地を取得した場合、不動産取得税は原則として課税されません。
売買や贈与で取得した場合には地方税として負担が生じますが、相続は取得の性質が異なるため対象外となります。

取得時の初期費用を抑えたい家庭では、相続による取得が資金計画の面でも有利になりやすいでしょう。

土地を相続で引き継ぐデメリット

相続は税制面で有利になりやすい反面、家族間の調整や手続き面で負担が生じることがあります。
特に土地は現金のように分けにくく、相続人の希望がぶつかると協議が長引きやすい財産です。

ここでは遺産分割協議での対立と、亡くなるまで土地を動かせない点を中心に、相続前に備えたい課題を確認します。

遺産分割協議で相続人同士がもめるリスクがある

土地を相続で引き継ぐ場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、誰が取得するかで意見が分かれることが多々あります。
土地は簡単に分割できず、評価額も見方によって不満が出やすい財産です。

協議がまとまらないと調停や審判に進む可能性もあるため、遺言書や事前の話し合いで備えておくとよいでしょう

被相続人の死亡まで財産を動かせない

相続では、被相続人が亡くなるまで土地の名義変更や売却を進められないため、早期に活用したい場合は不便に感じることがあります。
さらに相続開始後も、遺産分割協議や相続人全員の同意が必要となり、処分まで時間がかかるかもしれません。

土地を早く使いたい事情がある家庭では、相続まで待つリスクと生前贈与の費用の比較が不可欠です。

土地を生前贈与した方がよいケース

土地の生前贈与が向いているのは、家族関係や将来の管理方針を重視したい場合です。
相続争いの予防、判断能力の低下対策、地価上昇への備えなど、早く名義を移すことに意味がある場面がいくつかあります。

ここでは、相続人間の争いが予想される場合や判断能力の低下が心配な場合など、贈与を検討しやすいケースを解説します。

将来的に相続人間でのトラブルが予想される場合

相続人同士の関係が複雑で、将来の遺産分割でもめる可能性が高いなら、生前贈与で土地の行き先を明確にしておくのも1つの方法です。
誰に渡すかを契約書と登記で示せば、相続時に「自分が取得したかった」という対立を回避しやすくなります。

ただし、遺留分への配慮は必要なので、全体の財産配分の確認を怠ってはいけません

認知症など判断能力の低下が懸念される場合

認知症などで判断能力が低下すると、土地の贈与契約や名義変更が思うように進められなくなるおそれがあります。
本人の意思が確認できない状態では契約の有効性が問題となり、成年後見制度を使っても自由な財産移転は難しい場合が多いです。

元気なうちに土地の扱いを決めたい方は、家族と共有しながら贈与時期や必要書類を準備しましょう。

今後土地の評価額が上昇すると見込まれる場合

今後の再開発や交通利便性の向上によって土地評価額が上がると見込まれるなら、評価が低い段階で贈与する選択も検討できます。
贈与税は贈与時の評価額を基準に計算されるため、将来の上昇分を課税対象から外せる可能性があるからです。

地価上昇の可能性が高い土地では、贈与後にかかる税金と相続時の評価増の比較が判断基準となるでしょう。

特定の親族や第三者に確実に渡したい場合

土地を特定の親族や世話になった第三者へ確実に渡したい場合、生前贈与は意思を実現しやすい方法です。
相続では遺言書がなければ法定相続人中心の分配となり、第三者へ土地を移すには別途対策が必要になります。

特定の相手へ確実に渡したい希望があるなら、契約内容を明確にし、他の相続人への影響も忘れてはいけません。

土地を相続した方がよいケース

土地を相続で引き継いだ方がよいのは、基礎控除や相続特有の特例を十分に活用できる場合です。
贈与より税率や費用を抑えやすく、遺言書を整えれば渡す相手も指定できます。

ここでは遺産総額が基礎控除内に収まる場合や、小規模宅地等の特例を使える場合など、相続が向くケースを解説します。

遺産総額が相続税の基礎控除以下に収まる場合

遺産総額が相続税の基礎控除以下に収まるなら、土地を相続で受け継いでも相続税は発生しません。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するため、相続人が配偶者と子2人なら4,800万円まで非課税です。

贈与では年間110万円を超えると課税されやすく、この場合は相続の方が有利に働きます

小規模宅地等の特例による節税効果を活用したい場合

自宅や事業用の土地が小規模宅地等の特例の要件を満たすなら、相続で引き継ぐ方が大きな節税につながる可能性があります。
居住用宅地では一定面積まで評価額を最大80%減らせるため、評価額が高い土地でも課税対象を大幅に圧縮できます。

対象となる土地が自宅や事業用地である場合は、贈与前に特例の適用可否を確認しましょう。

遺言書で渡す相手をあらかじめ指定したい場合

土地を渡す相手を決めておきたいものの、生前に名義を移す必要まではない場合、遺言書を使った相続が適しています。
遺言書があれば誰にどの土地を引き継がせるかを明示でき、遺産分割協議の負担も軽くなります。

ただし形式不備があると無効になる恐れがあるため、公正証書遺言など確実な方法を選びましょう。

贈与税・相続税の負担を軽減できる特例制度

土地やマンションを引き継ぐ際は、贈与税や相続税を軽減できる特例を知っているかで負担が大きく変わります。
配偶者控除、相続時精算課税制度、小規模宅地等の特例、貸家建付地の評価減には要件があるため、各制度の使いどころを確認しましょう。

ここでは、それぞれの制度がどのような場面で使えるのかを整理し、贈与と相続の判断に役立つ視点を紹介します。

配偶者へのマイホーム贈与に使える配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦で自宅の土地や建物を配偶者へ贈与する場合、贈与税の配偶者控除を使えることがあります。
この制度では基礎控除とは別に最高2,000万円まで控除できるため、マイホームの移転時に税負担を大きく抑えられるでしょう。

配偶者に住まいを残したい場合は、贈与後の生活実態や登記手続きまで整えてからの活用がポイントです

2500万円まで非課税になる相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、一定の親や祖父母から子や孫へ贈与する際、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。
土地を早めに移したい場合には便利ですが、相続時には贈与財産を相続財産へ戻して税額を精算します。

節税ではなく納税時期を調整する側面もあるため、将来の相続税まで含めて検討しましょう。

最大80%評価減の小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、被相続人の自宅や事業用の土地などについて、一定面積まで評価額を最大80%下げられる制度です。
評価額が高い宅地ほど節税効果は大きく、相続税の有無を左右することもあります。

土地を相続する予定があるなら、面積や居住状況、事業継続の条件整理を早期に始めることが大切です。

貸家建付地の評価減による節税効果

貸家建付地とは、賃貸アパートや貸家が建っている土地を指し、借主の権利がある分だけ相続税評価額を下げられます。
所有者が自由に使えない制約を評価に反映する仕組みで、空き地より税負担を抑えやすくなるのが特徴です。

賃貸用不動産を持つ場合は、空室状況や契約内容も含めて、評価減を正しく反映できるか精査しましょう。

まとめ:生前の土地相続と贈与で後悔しない選択を

土地を生前贈与するか相続で引き継ぐかは、税負担だけでなく家族構成、土地の評価額、将来の使い道によって適した方法が変わります。
生前贈与は、渡したい相手を早く明確にできる反面、贈与税や不動産取得税の負担が重くなる場合があります。

一方、相続は基礎控除や小規模宅地等の特例を使える可能性があり、税金を抑えやすい点が特徴です。
後悔を避けるには、制度ごとのメリットと注意点を整理し、必要に応じて専門家へ相談しながら判断しましょう。