コラム
土地の固定資産税はいくら?計算方法と1/6軽減の仕組み

納税通知書の金額を見て、なぜこの額になるのか分からないまま払っている土地オーナーは少なくありません。
土地の税額は評価額に税率をかけただけでは求められず、住宅用地の特例や負担調整措置で大きく動きます。
この記事では、計算の順序と利用状況別の目安額、税額を抑える手順を公的機関の情報にもとづいて整理しました。
土地の固定資産税の基本的な仕組み
土地の固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地の所有者に対して市町村が課す地方税です。 市街化区域内の土地であれば、これに都市計画税が加わります。
ここではまず、基本的な仕組みを整理していきます。
固定資産税の納税義務者と賦課期日
納める人は、毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人です。 この基準日を賦課期日といい、年度分の税額は1年分がまとめて課されます。
年の途中で土地を売っても、その年度の納税通知書は1月1日時点の所有者である売主に届きます。
東京都主税局によれば、23区内の納期は6月・9月・12月・2月の年4回です。
都市計画税の課税対象と税率
市街化区域内の土地と家屋にだけ課される目的税が、都市計画税です。 総務省は、市町村が条例で税率を定められるものの、0.3%を超える税率にはできないとしています。
2つの税は1枚の納税通知書でまとめて課されるため、固定資産税だと思っている金額に都市計画税が含まれている場合も少なくありません。
両方をまとめて、固都税と呼ぶこともあります。
住宅用地の特例による軽減の割合は、2つの税で同じではありません。
土地の固定資産税の計算方法
土地の固定資産税は、評価額ではなく課税標準額に税率1.4%をかけて計算します。 つまずく原因になるのは、評価額と課税標準額が別の数字である点です。
評価額の決まり方、課税標準額への読み替え、税率をかける順で追うと、課税明細書の記載順と一致します。
固定資産税評価額の決まり方
評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準にもとづいて市町村長が決定し、課税台帳に登録した価格です。 総務省は、土地の評価額を正常な時価のおおむね7割を目途として求めると説明しています。
宅地の評価方法は、市街地で用いる路線価方式と、路線価のない地域で用いる標準宅地比準方式の2通りです。
同じ地域でも角地や不整形地で評価が動くのは、間口や奥行、形状に応じた補正が働くためです。
課税標準額と評価額の違い
課税標準額は、評価額に住宅用地の特例や負担調整措置を適用したあとの金額を指します。 東京都主税局も、土地の課税標準額は登録された価格に特例措置や負担調整措置を適用して算出するとしています。
課税明細書では価格と課税標準額が別の欄に印字されており、2つが一致しない土地も少なくありません。
簡易計算と納税通知書の金額が合わない原因の多くは、評価額に直接1.4%をかけている点にあります。
税額を求める計算式と標準税率
固定資産税は課税標準額×1.4%、都市計画税は課税標準額×0.3%で求めます。 このうち1.4%は地方税法が定める標準税率にあたり、市町村は条例で異なる税率を定められます。
一方、都市計画税の0.3%は超えられない制限税率です。
条文は、e-Gov法令検索の地方税法で、自分の税率は市区町村の公式サイトや課税明細書の税率欄で確認できます。
土地の利用状況別に見る固定資産税の目安額
同じ評価額の土地でも、住宅が建っているか更地かで固定資産税は数倍の差になります。 面積200㎡・評価額1,000万円・税率1.4%という条件をそろえ、3つのパターンで試算しました。
負担調整措置を考慮しない簡易計算のため、実際の税額は自治体と土地の状況で変わります。
3パターンの年間の税額は次の通りです。
利用状況 固定資産税の課税標準額 固定資産税額 都市計画税額
住宅が建つ土地 約166万円(価格×1/6) 約2万3,000円 約1万円
更地 700万〜1,000万円 9万8,000円〜14万円 2万1,000円〜3万円
貸駐車場 700万〜1,000万円 9万8,000円〜14万円 2万1,000円〜3万円
住宅が建っている土地の計算例
200㎡の土地に1戸の住宅があれば、全体が小規模住宅用地として扱われます。 評価額1,000万円なら、固定資産税の課税標準額は1,000万円×1/6で約166万円です。
これに1.4%をかけると、税額は約2万3,000円になります。
都市計画税は課税標準額が約333万円となり、0.3%をかけて約1万円です。
ただし、同じ土地に建物が建てば建物分の固定資産税が別に発生します。
更地の計算例
建物のない土地には、住宅用地の特例が適用されません。 同じ200㎡・評価額1,000万円でも、課税標準額を評価額のままとすると固定資産税は14万円です。
住宅が建つ場合の約2万3,000円と比べると、6倍前後の開きが出ます。
もっとも、住宅以外の用途の宅地は商業地等として扱われ、負担水準が70%を超える場合は課税標準額が価格の70%まで引き下げられます。
上限まで下がったときの課税標準額は700万円となり、税額は9万8,000円です。
駐車場として貸している土地の計算例
月極駐車場やコインパーキングとして外部に貸している土地は、非住宅用地にあたります。 東京都主税局も、外部貸駐車場を住宅用地以外の土地の例として挙げています。
課税標準額の考え方は更地と同じで、200㎡・評価額1,000万円なら税額は9万8,000円から14万円です。
一方、住宅の敷地と一体になっている自家用駐車場は、住宅用地に含まれます。
住宅用地の特例による軽減の仕組み
住宅用地の特例とは、住宅の敷地について課税標準額を価格の1/6または1/3に引き下げる制度です。 対象は賦課期日時点で住宅の敷地となっている土地で、その上の家屋の床面積の10倍までが限度になります。
面積による2つの区分があり、固定資産税と都市計画税で軽減の割合が違うため、以下で詳しく解説していきます。
小規模住宅用地の軽減割合
住宅1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税の課税標準額が価格の1/6、都市計画税が1/3になります。 200㎡の枠は、住宅の戸数によって変わる点に注意してください。
東京都主税局は、共同住宅の1室のように独立して区画された部分が複数ある場合は、その数を戸数とするとしています。
10戸のアパートであれば、2,000㎡までが小規模住宅用地になります。
一般住宅用地の軽減割合
200㎡を超える部分は、固定資産税が1/3、都市計画税が2/3になります。 例として、100坪(約330㎡)の宅地に1戸の住宅があり、評価額は3,000万円です。
200㎡分の1,818万円が1/6、残る130㎡分の1,182万円が1/3で計算されます。
課税標準額の合計は約697万円となり、固定資産税は約9万7,000円です。
住宅用地の申告手続き
住宅の新築や取壊し、用途の変更があったときは、申告書の提出が必要です。 東京都主税局は、申告が必要な場合として新築・増築、取壊し、建替え、家屋の用途変更、土地の利用状況の変更を挙げています。
賦課期日に住宅がない土地は原則として住宅用地になりませんが、建て替える場合は申告により特例が継続して適用されます。
評価額が変わらなくても税額が上がる理由
価格が据え置かれた年でも税額が上がるのは、課税標準額が段階的に引き上げられるからです。 土地の課税標準額は、評価額に一度で追いつくのではなく、時間をかけて近づきます。
課税標準額を動かすのは、以下に示す負担調整措置と3年ごとの評価替えという2つの仕組みです。
負担調整措置による課税標準額の引き上げ
前年度の課税標準額が本則の課税標準額に対してどの程度の水準にあるかを示す比率を、負担水準といいます。
住宅用地では、負担水準が100%以上なら課税標準額は本則の額です。
100%未満なら、前年度課税標準額に本則課税標準額の5%を加えた額まで引き上げられます。
商業地等では、負担水準が70%を超える場合に価格の70%まで引き下げられます。
更地の税額を評価額×1.4%で計算すると過大になる原因は、この70%の上限です。
3年ごとの評価替え
土地と家屋の価格は、原則として3年に1度の基準年度にすべて見直されます。 東京都主税局は、直近の基準年度が令和6年度であり、第2年度と第3年度は価格を据え置くとしています。
次の基準年度は令和9年度、つまり2027年度です(2026年8月時点)。
評価替えの年は税額が動くケースが多いため、売却や活用の判断はこの時期から逆算してください。
土地の固定資産税を抑える方法
土地の固定資産税を抑える手立ては、課税内容の確認、制度の活用、土地の使い方の見直しの3段階に分かれます。 以下の前半2つは費用をかけずに取り組めますが、効果は課税の誤りや適用漏れがあった場合に限られます。
後半で扱う建築と売却は、税額を下げる手段というより、使い方を変えたときの負担を比べる材料です。
課税明細書と現況の照合
最初に確認したいのは、納税通知書に同封される課税明細書です。 地積、地目、住宅用地の区分、価格、課税標準額の各欄が実際の土地の状況と合っているかを照らし合わせます。
住宅を建てたのに非住宅用地のままになっている、といった食い違いが申告漏れで起こります。
思い当たる点があれば、市区町村の資産税担当課(東京23区は都税事務所)に照会してください。
縦覧制度と審査申出の活用
自分の土地の価格を同じ市区町村内の他の土地と比べられるのが、縦覧制度です。 東京都主税局は、23区内の縦覧期間を毎年4月1日から第1期の納期限までとしています。
他人の土地と価格を比較できるのが縦覧で、自分の課税内容を確認できるのが閲覧です。
価格に不服がある場合は、納税通知書を受け取った日後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査を申し出られます。
建物を建てた場合の税負担の変化
更地に居住用の建物を建てれば住宅用地の特例が使え、土地の課税標準額は1/6または1/3に下がる仕組みです。 その一方で、建物には新たに固定資産税がかかります。
新築住宅には減額措置があり、総務省も住宅部分120㎡までの税額が2分の1になるとしています。
床面積の要件は、令和8年4月1日以後の新築で40㎡以上240㎡以下に改められました(2026年8月時点)。
複数パターンの収益シミュレーションで、建てるときと建てないときを同じ条件で比べてください。
保有し続けない選択肢との比較
活用の予定がない土地でも、持ちつづける限り固定資産税は毎年かかります。 年10万円なら10年で100万円、20年で200万円が保有コストとして積み上がります。
選べる道は、持ちつづける、建てる、貸す、売る、手放すの5つです。
相続で取得した土地は、法務省の相続土地国庫帰属制度により国に引き取ってもらう方法もあります。
審査手数料は土地一筆あたり1万4,000円、負担金は原則20万円です(2026年8月時点)。
土地の固定資産税で見落としやすい注意点
土地の固定資産税で不利益につながるのは、空き家の放置、売買した年の精算、免税点の3点です。 いずれも自分から調べにくく、気づいたときには対応の期限が過ぎている場合があるため、事前に押さえておくとよいでしょう。
空き家を放置した場合の特例解除
勧告の対象になるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく特定空家等と管理不全空家等です。 令和5年の法改正で、特定空家になる前の段階として管理不全空家等の区分が設けられました。
国土交通省は、勧告を受けた管理不全空家等について住宅用地特例が解除されると説明しています。
単純計算では6倍ですが、負担調整措置の70%上限が働くため、実際の増え方はそこまで大きくなりません。
なお、勧告の前には助言・指導の段階があり、この時点で修繕や管理を行えば解除は避けられます。
売買した年の税負担の精算
年の途中で土地を売買しても、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。 実務では引渡し日を境に日割りで精算する商慣習がありますが、法律上の義務ではありません。
東京都主税局も、日割り等の精算は当事者間の合意によるものだと明示しています。
そのため、起算日を1月1日とするか4月1日とするかで精算額は変わり、地域の慣行にも差があります。
免税点に満たない土地の扱い
同一の市区町村内で同じ人が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満なら、固定資産税は課されません。 この基準を免税点といい、家屋では20万円です。
判定は1筆ごとではなく市区町村ごとの合計で行われるため、小さな土地を複数持つと合算で超える場合があります。
まとめ|利用状況で大きく変わる土地の固定資産税
土地の固定資産税は課税標準額×1.4%で決まり、課税標準額を左右するのが住宅用地の特例と負担調整措置です。 住宅の敷地なら200㎡まで価格の1/6、更地や貸駐車場に軽減はありません。
最初にやるべき作業は、課税明細書の地積・地目・住宅用地区分を現況と照らし合わせる確認です。
税額を下げること自体を目的にすると、建築費や借入を含めた総額で不利になる場合があります。
持ちつづける、建てる、貸す、売る、手放すの5つを、保有コストと手取りで比べてください。
建築会社や不動産会社に属さない第三者の立場で判断材料をそろえる土地活用コンサルティングもあります。
個別の税額は、自治体の窓口と税理士に確認してください。納税通知書の金額を見て、なぜこの額になるのか分からないまま払っている土地オーナーは少なくありません。
土地の税額は評価額に税率をかけただけでは求められず、住宅用地の特例や負担調整措置で大きく動きます。
この記事では、計算の順序と利用状況別の目安額、税額を抑える手順を公的機関の情報にもとづいて整理しました。
<h2>土地の固定資産税の基本的な仕組み</h2>
土地の固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地の所有者に対して市町村が課す地方税です。
市街化区域内の土地であれば、これに都市計画税が加わります。
ここではまず、基本的な仕組みを整理していきます。
<h3>固定資産税の納税義務者と賦課期日</h3>
納める人は、毎年1月1日の時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人です。
この基準日を賦課期日といい、年度分の税額は1年分がまとめて課されます。
年の途中で土地を売っても、その年度の納税通知書は1月1日時点の所有者である売主に届きます。
東京都主税局によれば、23区内の納期は6月・9月・12月・2月の年4回です。
<h3>都市計画税の課税対象と税率</h3>
市街化区域内の土地と家屋にだけ課される目的税が、都市計画税です。
総務省は、市町村が条例で税率を定められるものの、0.3%を超える税率にはできないとしています。
2つの税は1枚の納税通知書でまとめて課されるため、固定資産税だと思っている金額に都市計画税が含まれている場合も少なくありません。
両方をまとめて、固都税と呼ぶこともあります。
住宅用地の特例による軽減の割合は、2つの税で同じではありません。
<h2>土地の固定資産税の計算方法</h2>
土地の固定資産税は、評価額ではなく課税標準額に税率1.4%をかけて計算します。
つまずく原因になるのは、評価額と課税標準額が別の数字である点です。
評価額の決まり方、課税標準額への読み替え、税率をかける順で追うと、課税明細書の記載順と一致します。
<h3>固定資産税評価額の決まり方</h3>
評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準にもとづいて市町村長が決定し、課税台帳に登録した価格です。
総務省は、土地の評価額を正常な時価のおおむね7割を目途として求めると説明しています。
宅地の評価方法は、市街地で用いる路線価方式と、路線価のない地域で用いる標準宅地比準方式の2通りです。
同じ地域でも角地や不整形地で評価が動くのは、間口や奥行、形状に応じた補正が働くためです。
<h3>課税標準額と評価額の違い</h3>
課税標準額は、評価額に住宅用地の特例や負担調整措置を適用したあとの金額を指します。
東京都主税局も、土地の課税標準額は登録された価格に特例措置や負担調整措置を適用して算出するとしています。
課税明細書では価格と課税標準額が別の欄に印字されており、2つが一致しない土地も少なくありません。
簡易計算と納税通知書の金額が合わない原因の多くは、評価額に直接1.4%をかけている点にあります。
<h3>税額を求める計算式と標準税率</h3>
固定資産税は課税標準額×1.4%、都市計画税は課税標準額×0.3%で求めます。
このうち1.4%は地方税法が定める標準税率にあたり、市町村は条例で異なる税率を定められます。
一方、都市計画税の0.3%は超えられない制限税率です。
条文は、e-Gov法令検索の地方税法で、自分の税率は市区町村の公式サイトや課税明細書の税率欄で確認できます。
<h2>土地の利用状況別に見る固定資産税の目安額</h2>
同じ評価額の土地でも、住宅が建っているか更地かで固定資産税は数倍の差になります。
面積200㎡・評価額1,000万円・税率1.4%という条件をそろえ、3つのパターンで試算しました。
負担調整措置を考慮しない簡易計算のため、実際の税額は自治体と土地の状況で変わります。
3パターンの年間の税額は次の通りです。
| 利用状況 | 固定資産税の課税標準額 | 固定資産税額 | 都市計画税額 |
| 住宅が建つ土地 | 約166万円(価格×1/6) | 約2万3,000円 | 約1万円 |
| 更地 | 700万〜1,000万円 | 9万8,000円〜14万円 | 2万1,000円〜3万円 |
| 貸駐車場 | 700万〜1,000万円 | 9万8,000円〜14万円 | 2万1,000円〜3万円 |
<h3>住宅が建っている土地の計算例</h3>
200㎡の土地に1戸の住宅があれば、全体が小規模住宅用地として扱われます。
評価額1,000万円なら、固定資産税の課税標準額は1,000万円×1/6で約166万円です。
これに1.4%をかけると、税額は約2万3,000円になります。
都市計画税は課税標準額が約333万円となり、0.3%をかけて約1万円です。
ただし、同じ土地に建物が建てば建物分の固定資産税が別に発生します。
<h3>更地の計算例</h3>
建物のない土地には、住宅用地の特例が適用されません。
同じ200㎡・評価額1,000万円でも、課税標準額を評価額のままとすると固定資産税は14万円です。
住宅が建つ場合の約2万3,000円と比べると、6倍前後の開きが出ます。
もっとも、住宅以外の用途の宅地は商業地等として扱われ、負担水準が70%を超える場合は課税標準額が価格の70%まで引き下げられます。
上限まで下がったときの課税標準額は700万円となり、税額は9万8,000円です。
<h3>駐車場として貸している土地の計算例</h3>
月極駐車場やコインパーキングとして外部に貸している土地は、非住宅用地にあたります。
東京都主税局も、外部貸駐車場を住宅用地以外の土地の例として挙げています。
課税標準額の考え方は更地と同じで、200㎡・評価額1,000万円なら税額は9万8,000円から14万円です。
一方、住宅の敷地と一体になっている自家用駐車場は、住宅用地に含まれます。
<h2>住宅用地の特例による軽減の仕組み</h2>
住宅用地の特例とは、住宅の敷地について課税標準額を価格の1/6または1/3に引き下げる制度です。
対象は賦課期日時点で住宅の敷地となっている土地で、その上の家屋の床面積の10倍までが限度になります。
面積による2つの区分があり、固定資産税と都市計画税で軽減の割合が違うため、以下で詳しく解説していきます。
<h3>小規模住宅用地の軽減割合</h3>
住宅1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税の課税標準額が価格の1/6、都市計画税が1/3になります。
200㎡の枠は、住宅の戸数によって変わる点に注意してください。
東京都主税局は、共同住宅の1室のように独立して区画された部分が複数ある場合は、その数を戸数とするとしています。
10戸のアパートであれば、2,000㎡までが小規模住宅用地になります。
<h3>一般住宅用地の軽減割合</h3>
200㎡を超える部分は、固定資産税が1/3、都市計画税が2/3になります。
例として、100坪(約330㎡)の宅地に1戸の住宅があり、評価額は3,000万円です。
200㎡分の1,818万円が1/6、残る130㎡分の1,182万円が1/3で計算されます。
課税標準額の合計は約697万円となり、固定資産税は約9万7,000円です。
<h3>住宅用地の申告手続き</h3>
住宅の新築や取壊し、用途の変更があったときは、申告書の提出が必要です。
東京都主税局は、申告が必要な場合として新築・増築、取壊し、建替え、家屋の用途変更、土地の利用状況の変更を挙げています。
賦課期日に住宅がない土地は原則として住宅用地になりませんが、建て替える場合は申告により特例が継続して適用されます。
<h2>評価額が変わらなくても税額が上がる理由</h2>
価格が据え置かれた年でも税額が上がるのは、課税標準額が段階的に引き上げられるからです。
土地の課税標準額は、評価額に一度で追いつくのではなく、時間をかけて近づきます。
課税標準額を動かすのは、以下に示す負担調整措置と3年ごとの評価替えという2つの仕組みです。
<h3>負担調整措置による課税標準額の引き上げ</h3>
前年度の課税標準額が本則の課税標準額に対してどの程度の水準にあるかを示す比率を、負担水準といいます。
住宅用地では、負担水準が100%以上なら課税標準額は本則の額です。
100%未満なら、前年度課税標準額に本則課税標準額の5%を加えた額まで引き上げられます。
商業地等では、負担水準が70%を超える場合に価格の70%まで引き下げられます。
更地の税額を評価額×1.4%で計算すると過大になる原因は、この70%の上限です。
<h3>3年ごとの評価替え</h3>
土地と家屋の価格は、原則として3年に1度の基準年度にすべて見直されます。
東京都主税局は、直近の基準年度が令和6年度であり、第2年度と第3年度は価格を据え置くとしています。
次の基準年度は令和9年度、つまり2027年度です(2026年8月時点)。
評価替えの年は税額が動くケースが多いため、売却や活用の判断はこの時期から逆算してください。
<h2>土地の固定資産税を抑える方法</h2>
土地の固定資産税を抑える手立ては、課税内容の確認、制度の活用、土地の使い方の見直しの3段階に分かれます。
以下の前半2つは費用をかけずに取り組めますが、効果は課税の誤りや適用漏れがあった場合に限られます。
後半で扱う建築と売却は、税額を下げる手段というより、使い方を変えたときの負担を比べる材料です。
<h3>課税明細書と現況の照合</h3>
最初に確認したいのは、納税通知書に同封される課税明細書です。
地積、地目、住宅用地の区分、価格、課税標準額の各欄が実際の土地の状況と合っているかを照らし合わせます。
住宅を建てたのに非住宅用地のままになっている、といった食い違いが申告漏れで起こります。
思い当たる点があれば、市区町村の資産税担当課(東京23区は都税事務所)に照会してください。
<h3>縦覧制度と審査申出の活用</h3>
自分の土地の価格を同じ市区町村内の他の土地と比べられるのが、縦覧制度です。
東京都主税局は、23区内の縦覧期間を毎年4月1日から第1期の納期限までとしています。
他人の土地と価格を比較できるのが縦覧で、自分の課税内容を確認できるのが閲覧です。
価格に不服がある場合は、納税通知書を受け取った日後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査を申し出られます。
<h3>建物を建てた場合の税負担の変化</h3>
更地に居住用の建物を建てれば住宅用地の特例が使え、土地の課税標準額は1/6または1/3に下がる仕組みです。
その一方で、建物には新たに固定資産税がかかります。
新築住宅には減額措置があり、総務省も住宅部分120㎡までの税額が2分の1になるとしています。
床面積の要件は、令和8年4月1日以後の新築で40㎡以上240㎡以下に改められました(2026年8月時点)。
複数パターンの収益シミュレーションで、建てるときと建てないときを同じ条件で比べてください。
<h3>保有し続けない選択肢との比較</h3>
活用の予定がない土地でも、持ちつづける限り固定資産税は毎年かかります。
年10万円なら10年で100万円、20年で200万円が保有コストとして積み上がります。
選べる道は、持ちつづける、建てる、貸す、売る、手放すの5つです。
相続で取得した土地は、法務省の相続土地国庫帰属制度により国に引き取ってもらう方法もあります。
審査手数料は土地一筆あたり1万4,000円、負担金は原則20万円です(2026年8月時点)。
<h2>土地の固定資産税で見落としやすい注意点</h2>
土地の固定資産税で不利益につながるのは、空き家の放置、売買した年の精算、免税点の3点です。
いずれも自分から調べにくく、気づいたときには対応の期限が過ぎている場合があるため、事前に押さえておくとよいでしょう。
<h3>空き家を放置した場合の特例解除</h3>
勧告の対象になるのは、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく特定空家等と管理不全空家等です。
令和5年の法改正で、特定空家になる前の段階として管理不全空家等の区分が設けられました。
国土交通省は、勧告を受けた管理不全空家等について住宅用地特例が解除されると説明しています。
単純計算では6倍ですが、負担調整措置の70%上限が働くため、実際の増え方はそこまで大きくなりません。
なお、勧告の前には助言・指導の段階があり、この時点で修繕や管理を行えば解除は避けられます。
<h3>売買した年の税負担の精算</h3>
年の途中で土地を売買しても、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者のままです。
実務では引渡し日を境に日割りで精算する商慣習がありますが、法律上の義務ではありません。
東京都主税局も、日割り等の精算は当事者間の合意によるものだと明示しています。
そのため、起算日を1月1日とするか4月1日とするかで精算額は変わり、地域の慣行にも差があります。
<h3>免税点に満たない土地の扱い</h3>
同一の市区町村内で同じ人が所有する土地の課税標準額の合計が30万円未満なら、固定資産税は課されません。
この基準を免税点といい、家屋では20万円です。
判定は1筆ごとではなく市区町村ごとの合計で行われるため、小さな土地を複数持つと合算で超える場合があります。
<h2>まとめ|利用状況で大きく変わる土地の固定資産税</h2>
土地の固定資産税は課税標準額×1.4%で決まり、課税標準額を左右するのが住宅用地の特例と負担調整措置です。
住宅の敷地なら200㎡まで価格の1/6、更地や貸駐車場に軽減はありません。
最初にやるべき作業は、課税明細書の地積・地目・住宅用地区分を現況と照らし合わせる確認です。
税額を下げること自体を目的にすると、建築費や借入を含めた総額で不利になる場合があります。
持ちつづける、建てる、貸す、売る、手放すの5つを、保有コストと手取りで比べてください。
建築会社や不動産会社に属さない第三者の立場で判断材料をそろえる土地活用コンサルティングもあります。 個別の税額は、自治体の窓口と税理士に確認してください。

