コラム

公開日 2026.09.18 更新日 2026.09.18

土地の事業用定期借地権とは?契約期間やメリット・デメリットを解説

事業用定期借地権は、土地を売却せずに事業者へ一定期間貸し出し、地代収入を得る土地活用の方法です。
一方で、契約期間や用途、公正証書による契約など法律上のルールがあり、借主の事業撤退や中途解約、契約終了時の原状回復にも注意が必要です。

本記事では、事業用定期借地権の契約期間による区分、メリット・デメリット、契約時の注意点まで解説します。
土地を長期的に活用しながら安定した収入を目指したい方は、制度を正しく理解するための参考にしてください。

事業用定期借地権の契約期間による2つの区分

事業用定期借地権は、契約期間によって「10年以上30年未満」と「30年以上50年未満」の2つに区分されます。
期間の違いによって、更新や建物買取請求権などの扱いが異なるため注意が必要です。

ここでは、事業用定期借地権の契約期間による2つの区分について解説します。

存続期間が10年以上30年未満のケース

存続期間が10年以上30年未満の場合は、借地借家法上、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長、建物買取請求権が適用されない事業用定期借地権となります。
比較的短い期間で土地を返還してもらえるため、将来的な売却や別用途への転用を検討している土地にも活用しやすい区分です。

一方、契約期間中は原則として土地を自由に使えなくなるため、将来の資産計画との整合性を確認する必要があります。
そのうえで、借主の事業期間や投資回収の見込みも踏まえ、双方が無理なく利用できる期間を設定しましょう。

存続期間が30年以上50年未満のケース

存続期間が30年以上50年未満の場合も、事業用建物の所有を目的として土地を貸し出します。
ただし、この区分では契約内容によって更新や建物買取請求権などを排除する特約を設ける仕組みとなるため、10年以上30年未満の場合とは法律上の扱いが異なるものです。

また、長期間の事業運営を想定しやすく、店舗や物流施設など、投資回収に時間を要する事業にも利用されます。
一方で、土地所有者は長期間にわたり土地を自由に使えないため、相続や売却、将来の再開発計画まで見据えて契約期間を検討することが重要です。

事業用定期借地権で土地を貸すメリット

事業用定期借地権で土地を貸す方法には、建物を自ら建築せずに土地を活用できることや、一定期間の地代収入を見込めることなどのメリットがあります。
また、契約終了後の土地利用を計画しやすく、相続税評価に影響する場合もあるでしょう。

ここでは、土地所有者側から見た主な4つのメリットについて解説します。

建物の建築費を負担せずに土地を活用しやすい

事業用定期借地権では、原則として借主が自らの費用で店舗や事務所、物流施設などの建物を建築するため、土地所有者が建築費を負担せずに土地を貸し出せます。
アパートやテナントビルを自ら建てて運営する方法と比べ、初期の資金負担を抑えやすい点が特徴です。

ただし、契約締結に伴う測量費や専門家への報酬、土地の整備費などが発生する場合もあるため、完全に費用がかからないとは限りません。
そのため、必要な費用と役割分担を契約前に確認し、無理のない形で土地活用を進めましょう。

長期にわたり地代収入を見込める

事業用定期借地権は10年以上50年未満の期間で設定するため、契約が継続している間は地代収入を得られる可能性があります。
建物を自ら運営する賃貸経営と比べ、入居者募集や建物管理を直接行う必要が少ない点も特徴です。

ただし、借主の経営悪化や契約条件によっては地代の支払いが滞る可能性があり、将来にわたって収入が保証されるわけではありません。
そのため、借主の信用力や事業計画を確認し、地代改定の条件や保証、途中解約に関する取り決めを契約書で明確にしておくことが重要です。

契約終了後は更地で返還される安心感

事業用定期借地権では、契約期間の満了後に土地を返還してもらうことを前提として利用できます。
特に10年以上30年未満の区分では、建物買取請求権などが適用されないため、貸主が建物を買い取る義務を負わない仕組みです。
30年以上50年未満の場合も、契約で更新や建物買取請求権を排除する特約を設けることができます。

ただし、実際に更地で返還してもらうには、建物撤去や原状回復の範囲を契約書で明確にしておくことが大切です。
返還条件を具体的に定め、契約終了後の土地利用につなげましょう。

相続税評価額の軽減が期待できる

事業用定期借地権が設定された土地は、相続税評価において権利関係を考慮して評価されるため、更地で所有している場合より評価額が低くなることがあります。
ただし、評価方法や減額の程度は契約期間、残存期間、地代の条件などによって異なり、一律に同じ効果が得られるわけではありません。

また、制度を利用すれば必ず相続税が減るとは限らず、ほかの財産状況も含めた確認が必要です。
相続対策として検討する場合は、契約前に税理士などへ相談し、評価額や税負担への影響を具体的に試算しておきましょう。

事業用定期借地権のデメリットと注意点

事業用定期借地権では、土地を長期に貸し出せる一方、契約期間中は自由に利用しにくく、中途解約や借主の事業継続に関するリスクもあります。
土地所有者の都合だけで柔軟に運用できる制度ではないため、契約前に将来の利用計画や返還条件、借主の信用力を確認することが重要です。

ここでは、主なデメリットと注意点について解説します。

契約期間中は自由に土地を使えない

事業用定期借地権を設定すると、契約期間中は借主が事業目的で土地を使用するため、土地所有者が自由に利用したり、他の用途へ転用したりすることは難しくなります。
将来、自宅建築や売却、別の事業への活用を考えていても、契約内容によってはすぐに変更できません。

そのため、契約前に相続や売却の予定、再開発の可能性なども含めて長期的な土地利用計画を整理することが重要です。
そのため、契約期間の長さだけでなく、返還時期や条件が将来の資産計画と合っているかを十分に確認しましょう。

中途解約が原則できない

事業用定期借地権は、契約期間をあらかじめ定めて土地を貸す仕組みのため、期間途中で貸主が一方的に契約を終了できるとは限りません。
また、借主側についても、契約書に中途解約条項がなければ自由に解約できない場合があります。
このように、中途解約の可否は契約内容によって異なるため、解約条項を事前に確認することが重要です。

ただし、当事者間で中途解約の条件を定めたり、一定の事由が生じた場合の解除条項を設けたりすることは可能です。
将来の売却や事業撤退に備えるためにも、解約条件や違約金、原状回復の範囲などを契約前に具体的に定め、必要に応じて専門家へ確認しましょう。

借主の事業撤退リスクがある

事業用定期借地権では、借主が途中で事業から撤退したり、経営悪化によって地代の支払いが滞ったりするリスクがあります。
契約期間が長くても、借主の事業継続や地代収入が将来まで保証されるわけではありません。

そこで対策としては、契約前に借主の事業計画や財務状況、信用力を確認し、保証金や保証会社の利用、解除条件などを検討することが重要です。
また、建物が残った状態で事業が停止した場合の撤去費用や原状回復についても、契約書で負担者を明確にしておきましょう。

事業用定期借地権を設定する手続きの流れ

事業用定期借地権を設定する際は、借地条件や地代などを整理したうえで、公正証書による契約や対抗要件の確認を進めます。
手続きや契約内容に不備があると、将来の権利関係や返還時のトラブルにつながりかねません。

ここからは、事業用定期借地権を設定する手続きの流れについて解説します。

借地条件や地代の交渉を行う

事業用定期借地権を設定する前に、土地の用途や契約期間、地代、保証金などの条件を貸主と借主で具体的に話し合います。
特に、建物の用途や規模、地代の支払方法、改定条件、途中解約の扱い、契約終了時の建物撤去や原状回復などは重要な確認事項です。

また、地代は周辺の賃貸事例や土地の立地、事業内容などを踏まえて検討し、双方が納得できる水準を決めます。
後の認識違いを防ぐため、合意した条件は書面に整理し、公正証書へ反映できるよう準備しておきましょう。

公正証書による契約書を作成する

事業用定期借地権は、借地借家法により公正証書で契約することが必要です。
公正証書は、公証人が契約当事者の合意内容を確認して作成する公文書で、契約期間や地代、建物の用途、返還条件などを明確に記載します。
作成にあたっては、契約案や本人確認書類、土地の登記事項証明書など、内容に応じた資料の準備が必要です。

また、契約条件によって必要書類が異なる場合もあります。
そのため、事前に公証役場へ相談し、必要書類や手数料、作成手順を確認したうえで進めるとスムーズです。

対抗要件を備えるための登記手続き

事業用定期借地権では、第三者に対して借地権を主張できるよう、対抗要件の確保についても確認が必要です。
土地の賃借権そのものを登記する方法がありますが、借地権の登記がなくても、借地権者名義で登記された建物を土地上に所有していれば、借地借家法上の対抗力が認められる場合があります。

そのため、借地権の設定登記が常に必須とは限りません。
土地所有者の変更などに備え、どの方法で対抗要件を備えるかを契約時に整理し、必要に応じて司法

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