コラム

公開日 2026.08.26 更新日 2026.09.24

住宅の維持費は年間いくら?内訳と目安を解説

住宅を持つと、住宅ローンの返済とは別に毎年40万〜55万円の維持費がかかります。

毎年出る税金や保険料もあれば、外壁の塗り替えのように十数年に一度出る費用も含まれる金額です。

この記事では、戸建ての維持費を5つの項目に分け、価格帯別の年間シミュレーションまで解説します。

目次

住宅の維持費の全体像

住宅の維持費とは、家を保有するあいだにかかる税金・保険料・修繕費などの総称です。

しかし、金額の幅が資料によって違うのは、どこまでを維持費に含めるかが統一されていないためです。

維持費を構成する5つの費用項目

戸建ての維持費は、税金・保険料・修繕費・光熱費・庭や外構の管理費に分けられます。

毎年発生する固定費は税金・保険料・光熱費の3つで、合計で年27万〜55万円です。

なお、修繕費と庭の管理費は、数年から十数年に一度まとまった金額が必要になる費用です。

ただし、住宅ローンの返済額は借入額や返済条件によって異なります。

年間の維持費は40〜55万円が目安

戸建て1棟あたりでは、年間40万〜55万円が一つの目安になります。

月額に直すと3万3,000円から4万6,000円で、返済に上乗せされる金額です。

また、30万円台から60万円近くまで開きが出るのは、光熱費と修繕積立を算入するかどうかが分かれるためです。

光熱費を含めると年15万〜25万円、修繕積立を含めれば年12万〜24万円が加わります。

費用項目ごとの年間の目安を、つぎの表に整理します。

費用項目年間の目安費用の性格
税金(固定資産税・都市計画税)10万〜25万円毎年かかる固定費
火災保険・地震保険2万〜5万円毎年かかる固定費
修繕・メンテナンス費12万〜24万円積立でまかなう一時費用
光熱費15万〜25万円毎年かかる固定費
庭・外構・自治会費など3万〜10万円固定費と一時費用の混在

築年数によって変わる維持費の推移

新築から10年目までは修繕がほとんど発生せず、年30万〜45万円程度が目安です。

しかし、築10~20年になると、給湯器や住宅設備などの交換が増え始め、年間45万~60万円程度になる場合があります。築20年を過ぎると、屋根や外壁などの大規模修繕が重なり、支出が年間55万~80万円に達する年もあります。

また、新築住宅の固定資産税の減額が終わる時期と、最初の外壁塗装の時期は築10年前後で近づきます。

二つの支出が重なる前に積立を始める設計が、この段階では有効です。

マンションの維持費との比較

分譲マンションでは管理費と修繕積立金がかかり、東京23区の平均で合計月2万4,000円程度が目安です。

戸建てにはこの毎月の徴収がない代わりに、修繕の計画と積立を所有者が担います。

特に、鉄筋コンクリート造は木造より評価額が高く、固定資産税は上がりやすい傾向があります。

そのため、管理組合の役割を所有者一人が引き受けると考えると、備え方の違いが分かりやすくなるでしょう。

維持費の内訳①税金(固定資産税・都市計画税)

住宅にかかる税金は固定資産税と都市計画税で、毎年1月1日時点の所有者に課されます。

どちらも評価額に税率を掛けて計算する税で、年4回に分けて納付します。

固定資産税の計算方法

税額は、固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛けて計算します(出典:総務省「固定資産税の概要」)。

しかし、評価額は購入価格そのものではなく、土地は時価の6〜7割、建物は建築費の5〜7割が目安です。

また、土地1,200万円・建物2,800万円の新築なら、評価額は土地840万円、建物1,680万円になります。

木造専用住宅の経年減点補正率は初年度0.8で、25年目に下限の0.2へ達した後は、0.2を下回りません(出典:総務省「固定資産評価のしくみについて」)。

都市計画税が課される地域と計算方法

対象になるのは、市街化区域内にある土地と建物だけです。

税率は0.3%を上限とする制限税率で、その範囲内で自治体が条例により定めます(出典:e-Gov法令検索「地方税法」)。

ただし、市街化調整区域では課されないこともあるため、自分の土地の区域区分を確認してみてください。

先ほどの新築なら、都市計画税は土地0.8万円、建物5.0万円で合計5.8万円程度が目安です。

住宅用地と新築住宅に適用される軽減措置

住宅の敷地は、200平方メートル以下の部分で固定資産税の課税標準が6分の1、都市計画税が3分の1になります。

一方、建物は、新築住宅なら一定期間にわたり固定資産税が2分の1に減額されます。

対象は床面積120平方メートルまでの居住部分で、都市計画税は対象外です。

なお、2026年8月時点では、令和13年3月31日までに新築された住宅が対象です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。

要件と期限は年度ごとに変わるため、購入前に自治体の窓口で確認しておくとよいでしょう。

築4年目に建物の税額が上がる理由

新築住宅の減額は戸建てで3年度分に限られ、終了した年から建物分の税額が上がります。

4年目からは建物分の固定資産税が1.7倍から2倍になり、年5万円前後の増額となります。

そのため、3年目までに、増額分を織り込んだ積立を始めるとよいでしょう。

維持費の内訳②火災保険・地震保険の保険料

火災保険と地震保険の保険料は、戸建てで年2万〜5万円が目安です。

住宅ローンを借りる時は火災保険への加入が実質的な条件になり、地震保険は単独では契約できません。

火災保険の保険料を左右する要素

保険料は、建物の構造・所在地・補償範囲・保険金額・契約期間で決まります。

基本の補償は火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災が中心です。

また、契約期間は2022年10月の改定で最長5年に短縮され、長期一括契約の割引幅は縮みました。

地震保険の保険料と割引制度

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲で決まります(出典:財務省「地震保険制度の概要」)。

ただし、上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。

なお、保険料は建物の構造と所在地で決まり、保険会社による差は生じません。

割引は最大50%で、耐震等級3や免震建築物が対象になります。

維持費の内訳③修繕・メンテナンス費

修繕費は維持費のなかで最も大きく、築30年までに500万〜1,100万円かかります。

部位ごとに時期と1回あたりの費用の目安があるため、計画に落とし込める費用です。

外壁・屋根の修繕時期と費用

外壁塗装は10年から15年ごとに1回で、80万〜150万円が目安です。

なお、屋根の塗装や補修は15年から20年ごとに1回、50万〜120万円かかります。

しかし、塗装を先送りすると防水性能が落ち、下地の腐食や雨漏りの補修まで必要になります。

水回り設備のリフォーム時期と費用

キッチンや浴室、トイレなどの水回りは、15年から25年で交換の時期を迎えます。

まとめて改修する場合の費用は100万〜500万円が目安です。

一方、単体で交換すると1か所50万〜150万円ですが、工事は複数回に分かれます。

水回り設備の交換時期は築20年前後に重なりやすいため、その手前で優先順位を決めることが大切です。

給湯器やエアコンなど設備機器の交換費用

給湯器は10年から15年、エアコンは10年前後で交換の時期になります。

費用は1台あたり15万〜40万円が目安です。

また、修繕の積立とは別に、10万〜20万円の予備費を持つ形が現実的です。

シロアリ対策(防蟻処理)の費用

木造住宅では、5年から10年ごとの防蟻処理が推奨されます。

費用は1回あたり10万〜25万円で、点検だけなら1万〜2万円です。

周期に幅があるのは、薬剤の効果が保証される期間がおおむね5年のためです。

被害が構造材に及ぶと補修に数百万円かかるため、予防のほうが安く収まります。

築30年間に必要な修繕費の総額

築30年までに必要な修繕費は、500万〜1,100万円の幅で示されています。

差が開くのは、屋根と外壁の素材、修繕の範囲、室内の改修の扱いが異なるためです。

800万円を30年で割ると、月2万2,000円の積立に相当します。

修繕費の積立額の目安

積立の目安は月1万〜3万円で、新築時は少額から始める方法があります。

新築から10年は月1万〜1万5,000円、築10年を超えたら月2万〜3万円へ増やす形です。

相場に合わせるより、つぎの修繕までの残り年数で費用を割って決める方法が確実です。

維持費の内訳④光熱費・庭の管理費

光熱費と庭の管理費は、戸建てで年18万〜35万円かかります。

1件あたりは小さくても毎年発生するため、年間総額では無視できない規模になるでしょう。

光熱費の目安と季節による変動

戸建ての電気・ガス・水道の合計は、年15万〜25万円が目安です。

維持費のなかでも特に占める割合が大きく、全体の3~4割に相当します。

ただし、使用状況によって費用は変わるため、5つの項目のなかでは削れる余地が大きい費用といえます。

庭・外構・駐車場の管理費用

自分で手入れするなら、道具や除草剤、肥料の費用として年1万〜3万円かかります。

加えて、剪定や除草を外注すると、年5万〜15万円が目安です。

また、駐車場の舗装の補修は10年から20年に一度で、10万〜30万円が相場になります。

家の価格別に見る年間維持費のシミュレーション

価格帯別の年間維持費は、55万〜59万円が試算の目安になります。

いずれも、敷地面積120平方メートル、延床面積100平方メートルの木造2階建てを想定し、修繕積立と光熱費を含めています。

新築で4,000万円の住宅を購入した場合

土地1,200万円・建物2,800万円の新築では、年間の維持費は約56万円になります。

内訳は税金20万円、保険3万円、修繕積立12万円、光熱費18万円、そのほか3万円です。

また、減額が終わる4年目からは税金が約25万円へ増え、年間では61万円前後になります。

光熱費を除けば38万円で、冒頭に示した40万〜55万円という目安の下限に近づきます。

ただし、実際の税額は自治体と評価額で変わるため、この試算はモデルケースとして扱ってください。

新築で5,000万円の住宅を購入した場合

土地3,500万円・建物1,500万円という都市部の内訳では、年間55万円程度が目安です。

また、税金は約17万円で、4,000万円のケースより3万円安くなります。

総額が高いのに税負担が軽いのは、土地の比率が高く住宅用地の特例が効くためです。

なお、5,000万円でも、内訳次第で税額の差は年3万〜5万円となるでしょう。

築10年の中古住宅を購入した場合

3,000万円の築10年の中古では、年間の維持費は約59万円になります。

内訳は税金11万円、保険3万円、修繕積立24万円、光熱費18万円、そのほか3万円です。

建物の評価額が経年で下がるため、税負担は新築より9万円軽くなります。

一方で、新築住宅の減額措置は適用されず、外壁や設備の修繕時期も早く訪れます。

また、購入前の建物診断には5万~10万円程度かかるため、購入時の初期費用として見込んでおく必要があります。

住宅の維持費を抑える5つの方法

維持費を抑える方法は、点検、素材の選択、保険の見直し、税制優遇、敷地の活用の5つです。

なお、このうち4つは支出を減らす方法で、最後の1つは収入で一部を賄う方法にあたります。

定期点検で修繕の規模を小さくする

ひび割れやコーキングの劣化は、早い段階なら数万円から十数万円で補修できます。

放置して雨漏りや構造材の腐食に至ると、数百万円規模の工事になるため注意が必要です。

施工会社の無料点検では、保証の範囲と自社の施工箇所を中心に見ます。

一方、第三者による建物診断は5万〜10万円かかりますが、中立的な立場から劣化の程度を確認します。

耐久性の高い外壁材・屋根材を選ぶ

ガルバリウム鋼板や粘土瓦は、塗り替えの周期が長い素材にあたります。

通常10年から15年に1回の外壁塗装が、条件によっては20年から30年に一度で済むでしょう。

なお、初期費用は上がるものの、30年間の総額では逆転する場合もあります。

すでに住んでいるなら、つぎの塗り替えや葺き替えの機会に素材を変える選択肢も一つの手段です。

火災保険の補償内容を定期的に見直す

契約期間が最長5年になったことで、更新のたびに補償を点検する機会が増えました。

しかし、同じ条件でも会社によって保険料に差が出るため、複数社の見積りを比べる価値があります。

見直しをする際は、まずハザードマップで自宅の水災リスクを確認する順に進めます。

ただし、金融機関が担保として求める補償は外せません。

長期優良住宅やZEHの税制優遇を活用する

認定長期優良住宅は、新築住宅の固定資産税の減額期間が一般の住宅より長くなります。

ZEH水準の住宅は断熱と設備の性能が高く、光熱費を抑えられるでしょう。

そのため、優遇で戻る金額と認定にかかる費用を並べて、判断してみてください。

使っていない敷地を活用して維持費に充てる

この方法だけは支出を削る話ではなく、維持費の一部を収入で賄う選択肢です。

敷地に余裕があれば、使っていない駐車スペースを月極で貸す方法があります。

ただし、貸し出す部分が住宅用地と認められるかは自治体の判断のため、事前に確認してましょう。

保有と売却と活用のどれが有利かは、収益シミュレーションによる比較が判断の材料になります。

住宅の維持費に関するよくある質問

ここでは、本文で扱いきれなかった疑問のなかから、住宅の維持費についてよくある質問を2つ取り上げます。

戸建てなのに管理費がかかるのはなぜですか

戸建てにマンションのような管理費はありませんが、分譲地では共用部の管理費や自治会費がかかります。

自治会費の目安は年1万円前後で、地域によっては発生しないケースも見られます。

まずは購入前に、規約と負担額を確認してみてください。

ローン返済と維持費の合計はいくらが目安ですか

住宅ローンの返済と維持費を合わせた住居費は、手取り収入の25%から30%以内が目安です。

返済が月10万円、維持費が月4万円なら、住居費は月14万円になります。

ここで注意したいのは、維持費が築年数とともに増える点です。

購入時点の返済比率だけで判断すると、10年後に家計が圧迫されるおそれがあります。

住宅の維持費と資金計画のまとめ

戸建ての維持費は年40万〜55万円が目安で、税金、保険料、修繕費、光熱費、庭の管理費で構成されます。

このうち修繕費だけは自分で計画して積み立てる費用で、築10年を境に負担が重くなります。

そのため、借入額を先に決めず、積立額を織り込んでから返済計画を立てる順序が欠かせません。

もし、判断に迷う時は、建築や仲介の立場から離れて数字で比較できる相手に相談する方法もあります。

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