コラム
土地で不労所得は得られる?方法の種類と選び方を解説

更地や空き地を持ったまま固定資産税だけを払っている状態は、気持ちのよいものではありません。
ただし、土地の不労所得は、方法によって手間・借入・リスクの大きさがまったく異なります。
この記事では、収入が生まれる仕組みから代表的な6つの方法、自分の土地への当てはめ方までを解説します。
土地で不労所得を得る3つの仕組み
土地から継続的な収入が生まれる経路は、建物を貸す・土地そのものを貸す・設備を置いて利用料を得るの3つに整理できます。
それぞれの仕組みを理解すると、必要な初期費用や借り入れの有無、管理の手間などを比較しやすくなるでしょう。
以下では、土地で不労所得を得る3つの仕組みを具体的に紹介します。
建物を建てて家賃収入を得る
アパートや戸建て賃貸、店舗を建て、家賃を受け取る方法です。
なお、建築費は借入で賄うのが通例で、この方法は返済という固定費を収入より先に確定させることになります。
土地を貸して地代収入を得る
土地だけを貸す方法では、建物を建てるのは借主で、オーナーが受け取るのは地代です。
初期費用と修繕の負担がほとんど発生しない代わりに、契約期間中はその土地を自分で使えなくなります。
なお、借地借家法では、一般定期借地権の存続期間を50年以上、建物譲渡特約付借地権を30年以上としています(出典:e-Gov法令検索「借地借家法」)。
設備を置いて利用料を得る
建物を建てずに設備だけを置く方法には、駐車場やトランクルーム、太陽光発電、広告看板などがあります。
ただし、初期費用が小さく撤退しやすい反面、収入は小さく、固定資産税を賄えない土地もあるでしょう。
土地の不労所得が完全な「不労」にならない理由
土地の収入には、入居者の募集や修繕の判断、契約更新、確定申告といった作業が必ず残ります。
不労所得という言葉は労働を直接伴わない継続収入を指しますが、判断まで消えるわけではありません。
入居者の募集や集金、清掃、設備の故障対応は管理会社に委託でき、そのぶん手数料が引かれます。
一方、修繕をどこまでやるか、建て替えるか、相続でどう分けるかはオーナー本人が決める領域です。
つまり、土地活用は手間がゼロになる仕組みではなく、手間をお金で減らす度合いを選ぶ仕組みです。
不労所得を得られる土地活用の種類
不労所得につながる土地活用は、賃貸住宅・駐車場・トランクルーム・コインランドリー・太陽光・借地の6つが代表的です。
ただし、すべての方法を選べるわけではなく、土地の広さや立地、周辺需要などによって適した選択肢は数種類に絞られます。
ここでは、不労所得を得られる土地活用の種類を紹介します。
賃貸住宅経営
アパートやマンション、戸建て賃貸を建てて貸す方法で、投資額も収入も大きいです。
なお、建築費は木造アパートで数千万円規模になり、自己資金と借入の組み合わせを先に整理することが肝心です。
さらに、空室と家賃下落の影響を受けやすいのもこの方法でしょう。
満室想定の家賃ではなく、返済と経費を引いた手残りで比べてください。
駐車場経営
月極駐車場とコインパーキングがあり、舗装と区画だけで始められる手軽さが特徴です。
ただし、住宅の敷地ではないため、住宅用地の特例は適用されません。
更地と同じ水準の固定資産税を払いながら、駐車料金でそれを上回れるかが損益の分かれ目です。
トランクルーム経営
コンテナや屋内の収納スペースを貸し、月額の利用料を受け取る方法です。
20坪程度から始められ、日照や駅距離の条件が悪い土地でも活用できます。
ただし、相続時の小規模宅地等の特例も、建物または構築物の敷地であることが前提になります(出典:国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」)。
コインランドリー経営
洗濯機と乾燥機を設置し、利用料を受け取る方法です。
機器の導入に1,000万円前後かかる例が多く、6つのなかでは店舗運営に近いでしょう。
また、定期的な清掃や集客、機器の故障対応などが必要になるため、駐車場経営よりも運営上の判断や作業が増えやすい方法です。
不労所得に近いと紹介される場合もありますが、管理を自ら行うか外部へ委託するかによって、実際にかかる手間は異なります。
太陽光発電による売電
パネルを設置して発電した電気を売る方法で、人が使いにくい土地でも収入化できる点が特徴です。
2026年度の調達価格は、10kW以上50kW未満のFITで9.9円です。
また、50kW以上の地上設置はFIP制度のみが対象で、入札対象外の基準価格は9.6円となっています。
FIPは市場価格に上乗せを受ける仕組みで、固定価格の買取ではありません(出典:調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」)。
なお、支援を受けられる期間は20年間で、10kW以上50kW未満には自家消費型の地域活用要件が設定されています(出典:資源エネルギー庁「買取価格・期間等」)。
さらに事業用太陽光の地上設置は、2027年度以降はFIT・FIPの新規認定対象から外れます。
ただし、2026年度までに認定や落札を済ませた案件は、引き続き支援の対象です。
借地事業
借地契約を結んで土地だけを貸し、地代を受け取る方法です。
借地借家法は、事業用定期借地権を10年以上50年未満、一般定期借地権を50年以上と区分しています(出典:e-Gov法令検索「借地借家法」)。
なお、事業用定期借地権の契約は、公正証書によることが求められます。
契約が残ったまま相続が起きると、次の世代は途中から地主の立場を引き継ぐことになるのです。
土地で不労所得を得るメリット
土地から収入を得る利点は、毎月の収入・税負担の軽減・物価上昇への備えの3点に整理できます。
しかし、どれも無条件で手に入る利点ではありません。
ここでは、土地で不労所得を得るメリットを解説します。
毎月の収入が入る
家賃や地代、利用料として毎月の収入が入るのが、土地活用のわかりやすい効果です。
なお、手元に残るのは、経費と返済、税金を引いたあとの金額です。
ただし、満室のときの家賃だけを見て判断すると、稼働が落ちた月に想定との差が出ます。
そのため、稼働率が下がったときに何が起きるかまで見てから金額などを決めてください。
税負担が軽くなる場合がある
住宅用地の特例は地方税法にもとづく全国共通の制度で(出典:e-Gov法令検索「地方税法」)、住宅の敷地は固定資産税と都市計画税の課税標準が下がります。
200平方メートル以下の部分は固定資産税で6分の1、都市計画税で3分の1になります(出典:大阪市「住宅用地の課税標準の特例措置」)。
そのため、建物を建てて貸せば、その土地は貸家建付地となり相続税の評価も下がります(出典:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」)。
一方、駐車場やトランクルームは住宅の敷地に当たらないため、この特例は使えません。
物価上昇に備えられる
現金は物価が上がると実質的な価値が目減りしますが、土地と建物は価格が動く資産です。
さらに、新たに土地を購入するかではなく、現在所有している土地を保有し続けるか、収益を生む形で活用するかを考える際の判断材料として捉えると現実的でしょう。
土地で不労所得を得るデメリット
土地活用は継続的な収入を期待できる一方、初期費用や借入、空室、設備の修繕といった負担も伴うでしょう。
また、土地の条件や需要によっては、想定した収益を得られない場合もあります。
ここでは、土地で不労所得を得る前に確認したい主なデメリットを解説します。
初期投資と借入の負担がある
建物を建てる方法では、数千万円規模の初期投資と20年前後の借入が発生します。
収入が減っても返済は減らない非対称が、この方法のデメリットです。
また、設備を置く方法なら初期投資は数十万円から数百万円に収まり、借入を避けられる余地もあります。
需要が減ると収入が下がる
人口の減少や競合施設の出店で、稼働率と賃料は下がることがあります。
長期の借地でも、契約が終わったあとに同じ条件で貸せる保証はありません。
また、サブリースを使えば空室でも一定の賃料が入りますが、手数料が引かれ、賃料の改定もあり得ます。
空室のリスクを消す仕組みではなく、リスクを引き受けてもらう代わりに収入を渡す仕組みです。
確定申告と納税が必要になる
家賃や地代、売電の収入は所得として課税され、原則として毎年の確定申告が要ります。
給与所得者は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると申告の対象になります(出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。
さらに、所得税は課税所得に応じて5%から45%の7段階で、控除額もそれぞれ決まっています(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」)。
経費の線引きは判断が分かれやすく、金額が大きくなるほど税理士に確認する価値は上がります。
自分の土地に合う方法の選び方
方法を先に決めるのではなく、土地の条件から絞り込むほうが早く結論に近づきます。
法規制、広さと形状、立地と需要、資金と出口の順に見れば、候補は数個まで減るでしょう。
以下では、自分の土地に合う方法の選び方を紹介します。
土地の法規制と広さを確認する
市街化調整区域では建築が原則として制限され、用途地域によっても建てられる建物が変わります。
また、農地のままなら、農地法にもとづく転用の許可か届出が必要です(出典:農林水産省「農地転用許可制度について」)。
広さの目安も方法ごとに違い、駐車場は4坪程度から、賃貸住宅は35坪前後から、太陽光は100坪前後からが一つの目安です。
なお、都市計画課と農業委員会に電話をかければ無料で確かめられます。
立地と需要を確認する
同じ方法でも、駅距離と周辺人口、競合の有無で結果は変わります。
例えば、賃貸住宅なら、周辺の募集賃料と空室の多さが最初の手がかりです。
初期投資と借入の限度を決める
自己資金と借入可能額が決まると、建てる方法を選べるのか、設備型と借地型に絞るのかが決まります。
自己資金の目安は事業者の解説でも建築費の1割から3割まで幅があり、一律の正解はありません。
また、判断の軸は目安の数字ではなく、稼働が落ちた月でも家計から返済を続けられるのかが肝心です。
建築費は相見積もりを取り、利回りの高さだけで決めないのが失敗を減らす手順になります。
相続と売却まで含めて考える
土地活用は10年から50年単位で続くため、途中で相続が起きる前提で選ぶことになります。
建物を建てれば相続税の評価は下がる場合がありますが、次の世代は建物と借入も一緒に引き継ぎます。
そのため、土地については、活用・保有・売却の3つを並べ、それぞれの収益性や費用、将来性を比較することが重要です。
土地活用だけを正解と考えず、短期間での契約を勧められた場合も、提案の根拠や条件を確認したうえで慎重に判断しましょう。
土地活用の相談先
相談先によって出てくる結論が変わるのは、それぞれが持っている商材が違うためです。
ハウスメーカーや工務店に相談すれば建てる案が、査定会社に相談すれば売る案が中心になります。
また、税金は税理士、境界や登記は土地家屋調査士と司法書士、資金計画は金融機関に相当するのが良いでしょう。
なお、建てるか売るか、今は動かないかという手前の判断だけは、商材を持たない相手のほうが向いています。
そこで、商材を持たない立場としては、土地活用のコンサルティングを専門に行う会社も選択肢です。
株式会社土地活用コンサルティングは、ハウスメーカーにも不動産会社にも属さない第三者を掲げています。
建築ありきで進めない方針も同社が示しています。
土地の不労所得に関するよくある質問
土地から不労所得を得る方法を検討する際は、収益性だけでなく、税金や初期費用、管理の手間も気になるところです。
ここでは、土地活用を始める前に確認しておきたい疑問を解説します。
土地を活用せずに持ち続けるとどうなりますか?
更地のままなら住宅用地の特例が適用されず、固定資産税と都市計画税の負担は住宅が建つ場合より重くなります(出典:e-Gov法令検索「地方税法」)。
一方で、負担額が小さい土地なら、方針が決まるまで保有したままにするのも選択肢です。
なお、空家法にもとづく勧告を受けた敷地は特例の対象から外れるため、注意してください(出典:大阪市「住宅用地の課税標準の特例措置」)。
手間が最も少ない方法はどれですか?
オーナーの手間がいちばん小さいのは借地です。
建物も修繕も借主の負担で、地主が持つのは土地の固定資産税と都市計画税になります。
また、運営会社が設備投資まで引き受ける駐車場の一括貸しも、これに近い形です。
狭い土地や変形地でも収入を得られますか?
数坪の土地でも、駐車場や自動販売機、資材置き場、広告看板が選択肢に残ります。
ただし、収入は月に数千円から数万円で、生活を変える金額にはなりません。
固定資産税の一部を回収する目的なら、検討する価値はあるでしょう。
「土地持ち貧乏」とはどういう状態ですか?
土地という資産を持ちながら、固定資産税と維持費の支出が収入を上回り、手元の現金が足りなくなる状態を指します。
なお、判断の基準になるのは資産額ではなく、年間の収支ということが「土地持ち貧乏」にならないために大切です。
まとめ
土地の不労所得は、方法によって手間・借入・リスクの大きさが違います。
また、法規制と広さ、立地と需要、資金と出口の順に確認すれば、選べる方法は数個に絞られます。
そのため、活用・保有・売却を並べたまま比べ、急がずに決めてください。
判断の材料が足りないと感じたら、中立の立場で土地活用を相談できる窓口に一度当たってみるのも一つの手段です。

