コラム

公開日 2026.08.26 更新日 2026.08.26

マンション経営とは?土地オーナー向けに収入と費用・リスクを解説

所有している土地にマンションを建てるべきか、判断できずにいる方は少なくありません。
マンション経営は家賃収入が長期にわたって入る一方、資金の回収は借入の返済期間である35年前後で考える必要があります。

そこでこの記事では、収入の目安と費用の内訳、リスクの中身を土地オーナーの立場から整理しました。
建てる前に確かめたい土地の条件と、相談先の選び方までを通して読める構成にしています。

マンション経営の仕組み

マンション経営とは、所有する土地に賃貸マンションを建て、家賃収入から経費と返済を引いた残りを得る事業です。
収入の柱は毎月の家賃で、空室が続けば管理費や修繕費が家賃を上回る月も生じます。

ただし、ここで最初に切り分けたいのは、土地を持つ方と物件を買う方では前提そのものが違う点です。

以下では、マンション経営の基本について詳しく解説していきます。

一棟経営と区分経営の違い

必要な資金も空室が出たときの影響も、1棟と区分では桁が変わります。
1棟は建物と土地をまとめて所有するため、修繕の時期と内容を自分の判断で決められます。

区分は1室だけの所有で、管理組合の決定に従うほか毎月の修繕積立金もかかる点が違いです。

アパート経営との違い

建物の構造が変われば、必要な土地の広さも家賃の水準も変わります。
マンションの主流であるRC造は、住宅用の法定耐用年数が47年です(出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」)。

木造アパートの22年に比べて長く、そのぶん建築費も家賃も高い水準になります。
ただし、狭い土地や容積率の低い地域では、アパートの方が収支の合うケースも少なくありません。

マンション経営で得られる収入の目安

不動産所得のある申告納税者80万人の平均所得金額は、令和6年分で666万円でした(出典:国税庁「令和6年分申告所得税標本調査」)。
ここでいう収入は家賃の総額を指し、所得は経費を引いたあとの手取りに近い金額です。

ただし、同じ統計では申告納税者数の全体が前年から22.8%減っており、母集団の構成が変わっている点に注意が必要です。
平均ではなく、所有地で成立する金額を先に出すところから始めてください。

手取り収入の目安

家賃として入る金額のうち、実際に手元へ残るのは15〜25%程度にとどまります。
残りは返済、管理委託費、修繕積立、固定資産税や所得税などに配分されていきます。

管理を委託する方式なら、費用の目安は家賃収入の3〜7%程度です。
一括借上(サブリース)では手数料が10〜20%程度に上がり、手取りを最も大きく動かす変数です。

収入シミュレーション(30戸・家賃8万円のケース)

30戸・家賃8万円の建物なら、満室時の年間家賃収入は2,880万円です。
手取り率を20%と置けば、オーナーに残るのは年576万円という計算になります。

稼働率が90%まで落ちると家賃収入は2,592万円となり、手取りは約518万円へ下がります。
返済後に残るこの手取りなら、自己資金6,000万円(総事業費の20%)の回収期間は12年ほどが目安です。

利回りの計算方法

広告や提案書に並ぶ数字の多くは、経費を引く前の表面利回りです。
表面利回りは年間家賃収入を総事業費で割った値で、3億円で2,880万円なら9.6%になります。

実質利回りは管理費や税金を引いた額で計算するため、同じ建物でも数値は下がります。
土地を持つ場合は取得費がかからず数値が高く出るため、購入型の相場はそのまま当てはまりません。

マンション経営のメリット

土地オーナーにとっての利点は、収入の安定、空室の分散、税負担の軽減、保障の4点に整理できます。
いずれも条件が整ったときに得られる効果であり、建てれば自動的に手に入るものではありません。

以下で、具体的に見ていきましょう。

長期にわたる安定収入

家賃は株価や為替と違い、半年で半分になるような動き方をしません。
入退去が年度単位で起きること、賃料の改定が更新時に限られることが背景にあります。

全国の民営借家(非木造)の1か月あたり家賃は2023年時点で68,548円でした(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」)。
ただし、安定しているのは家賃の単価であり、稼働率まで安定するわけではありません。

空室リスクの分散

戸数が多いほど、1戸の空室が全体の収入に与える打撃は小さくなります。
30戸のうち2戸が年1か月ずつ空いても、年間の収入減は0.5%程度にとどまります。

この分散が働き始める目安は10戸前後で、容積率と建ぺい率から建てられる戸数を先に確かめておきたいところです。

相続税・固定資産税の節税効果

更地に賃貸マンションを建てると、その土地は貸家建付地として評価されます。
評価額は自用地としての価額から、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を掛けた分だけ下がります(出典:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」)。

借家権割合は財産評価基準書で地域ごとに公表され、東京都の令和7年分は30%でした。
住宅用地は固定資産税の課税標準も軽くなり、200平方メートル以下の部分は価格の6分の1で計算されます。

また、家賃収入から必要経費を引いた金額が不動産所得となり、所得税の課税対象です。

団体信用生命保険による保障

借入時に団体信用生命保険へ加入すると、契約者に万一のことがあった際に残債が弁済されます。
遺族に残るのは借入のない収益物件で、家賃がそのまま生活費の支えになるという形です。

この保障は借入をする場合にだけ働くため、自己資金の比率を高めるほど恩恵は小さくなります。

マンション経営のリスク

本章では運営を始めたあとに起きる事象と、その対策を対にして扱います。
計画や判断の段階で起きる失敗は次章にまとめ、ここでは触れません。

空室による収入減

全国の空き家900万2千戸のうち443万6千戸は賃貸用で、空き家率13.8%は過去最高でした(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」)。
供給の多さと人口減少が重なる地域では、募集をかけても決まらない期間が長引きます。

収支計画では稼働率を90%前後に置き、着工前の需給調査で読み違いを潰しておいてください。

家賃の下落

築年数が進み周辺に新築が供給されるほど、募集家賃は下方向へ動きます。
先の30戸のケースで家賃が1割下がると、稼働率90%のままでも手取りは約466万円です。

修繕費の増加

支出は共用部の小修繕、12年前後で回る大規模修繕、退去ごとの原状回復の3つに分かれます。
1棟のオーナーは修繕計画を自分で決められる反面、積み立てを怠っても誰にも止められません。

毎月の収支に修繕積立を組み込み、長期修繕計画を竣工前に作っておいてください。

借入金利の上昇

変動金利で借りた場合、金利が上がれば毎月の返済額もそのぶん増えます。
3億円を35年・元利均等で借りた例では、金利が1%上がると返済額は月15万円前後増える計算です。

固定金利を選ぶか自己資金を厚くして借入額を抑えるかで、影響を和らげられます。

自然災害による損害

地震や水害で建物が傷めば、修繕費の支出と家賃の停止が同時に起こります。
土地を選べない土地オーナーにとって、災害は避ける対象ではなく織り込む対象です。

計画の初期段階でハザードマップポータルサイトを確かめ、結果を構造と保険の設計に反映させてください。

マンション経営にかかる費用

費用は建築時の初期費用、運営中の維持費用、手元から出す自己資金の3つに分かれます。
延床300坪・5階建てで総額3億〜4億円が1つの目安ですが、土地の条件と規模で大きく動く数字です。

ここでは、それぞれの費用の目安を整理していきます。

初期費用の目安

諸費用は本体価格の6〜8%程度が目安で、3億円の建築なら1,800万〜2,400万円です。
不動産取得税の標準税率は4%ですが、令和9年3月31日までに取得する土地と住宅は3%です(出典:総務省「地方税制度 不動産取得税」)。

一定の要件(1戸あたりの床面積40〜240平方メートルなど)を満たす新築住宅なら、課税標準から1戸あたり1,200万円が控除されます。
上位記事には固定資産税の4%と書くものもありますが、正しくは固定資産税評価額に対する税率です。

費目 金額の目安(2026年8月時点)
建物本体の工事費 3億〜4億円(延床300坪・5階建て)
諸費用の合計 本体価格の6〜8%
不動産取得税 固定資産税評価額の3%(軽減後)
ローン事務手数料 借入額の2%前後
登記費用・印紙税 数十万円規模

維持費用の目安

運営中に出るのは管理委託費、共用部の水道光熱費、修繕積立、税金、保険料、原状回復費です。
管理委託費は家賃収入の3〜7%程度、サブリースの手数料は10〜20%程度が目安になります。

30戸・家賃8万円なら、この差は年間200万〜400万円に広がります。

自己資金の目安

金融機関から示される水準は、総事業費の10〜30%を自己資金で用意する形です。
3億円の建築なら3,000万〜9,000万円が該当し、残りを借入で賄います。

すでに土地を持つ場合は担保価値が評価に反映され、自己資金の一部を代替する余地が生まれます。

マンション経営が儲からないといわれる理由

儲からないと語られる原因の多くは、運営中の事故ではなく計画段階の判断にあります。
第一は借入額の大きさで、数億円の返済が固定費として毎月のしかかる点です。

第二は回収を短期で見込む期待で、賃貸経営は返済を終えたあとに手残りが伸びる構造をとります。
第三は売却の難しさで、1棟の収益物件は買い手が限られ、希望の時期に現金化できるとは限りません。

一方、土地をすでに持つ方は取得費がかからないぶん収支が成立しやすく、判断の重心は建築費と規模に移ります。
その規模で需要が読めない土地なら、駐車場や売却まで並べて比べる価値のある場面です。

マンション経営を始めるまでの流れ

土地の調査から入居者募集までは、着工前の検討を含めて1年以上かかります。
最初の工程は建築会社への相談ではなく、その土地にマンションが最適かどうかの検証です。

次に用途地域や容積率、周辺の賃貸需給を調べる土地調査に1〜2週間ほどかかります。
建築プランと収支の検証に1週間前後、依頼先の決定と契約にもう1週間ほどが目安です。

その後の着工から完工までは6か月〜1年が目安で、検査を終えたあとに入居者募集が始まります。
相続対策など期限がある場合は、この全体像から逆算して着手時期を決めてください。

マンション経営を成功させるポイント

着工前に判断すべき論点は、需給の検証、収支の見方、管理方式の選択、目的の置き方の4つです。
計算式や費目は前章までの通りで、ここでは進めるか見送るかの基準だけを扱います。

着工前に立地と賃貸需給を検証する

所有地の周辺で単身とファミリーのどちらに需要があるかを、着工前に数字で押さえます。
近隣の募集戸数、成約までの期間、直近の新規供給が判断の材料で、読み切れない土地では規模を抑える選択も現実的です。

実質利回りとキャッシュフローで判断する

提案書の表面利回りが高くても、返済と維持費を引いた手残りが薄ければ経営は続きません。
基準は、稼働率90%・家賃1割減という保守的な条件でも手残りが出るかどうかです。

先の30戸のケースなら手取りは年466万円、金利1%上昇が重なると年280万円前後まで縮みます。

管理方式を手取りベースで比較する

自主管理、管理委託、サブリースの3方式は、手数料の水準と空室リスクの負担先が異なります。
手数料率だけで比べず、30戸規模なら年間いくら違うのかを金額に直して並べてください。

節税目的だけを理由に建てない

相続税評価の圧縮だけを狙って建て、需要のない土地で空室が続く例は珍しくありません。
評価減は収支が成立して初めて意味を持つ、上乗せの効果です。

目的が相続対策なら、駐車場やトランクルーム、売却まで並べて比べるところから始めます。

マンション経営に向いている土地の条件

成立しやすいのは、一定の広さと容積率があり、賃貸需要の見込める土地です。
面積は200坪前後が1つの下限で、用途地域は中高層の建築が認められる区分が前提になります。

駅からの距離は徒歩10分圏が目安で、離れるほど間取りと賃料の設計は厳しくなります。
地型が整い前面道路に十分な幅があることも、建築費と設計の自由度を左右する条件です。

ただし、条件を満たさない場合は、アパートや駐車場、売却まで含めて比べる方法があり、第三者の立場で土地活用を診断するコンサルティングを使う手もあります。

マンション経営の相談先の選び方

相談先はハウスメーカー、不動産会社、管理会社、中立系のコンサルタントに大別されます。
ハウスメーカーは建築の受注で、管理会社は管理契約で収益を上げる構造です。

建てることで利益が出る相手に建てるべきかを尋ねる形になる点は、意識しておきたいところです。
提案は複数社から取り、建築費、想定家賃、稼働率の前提、管理方式を同じ条件で並べます。

そのため、建築と切り離して土地の使い道から検討したい場合は、土地活用コンサルティングの無料相談のように中立の立場で比較する窓口も選択肢になります。

まとめ

マンション経営は、土地を持っていることが最大の強みになる土地活用の手段です。
家賃の8割前後は経費と返済に消えるため、手取りで成立するかを着工前に確かめる必要があります。

空室、家賃下落、修繕、金利、災害の5つは、設計と契約の段階で軽減できる幅が残っています。
建てる以外の選択肢まで一度並べたいなら、特定の商品に偏らない第三者に相談する方法も有効です。
そこで、株式会社土地活用コンサルティングでは、賃貸住宅から駐車場、売却までを同じ基準で比較する無料相談を行っています。

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