コラム
親の土地を売却する方法とは?売却手順とスムーズに売却するためのポイントを解説

親の土地を売却する場合は、親が亡くなっているのか、認知症などで判断能力が低下しているのか、本人が健在なのかによって必要な手続きが変わります。
また、相続登記や成年後見、贈与、譲渡所得にかかる税金など、事前に確認すべき点も少なくありません。
本記事では、親の土地を売却する4つのケースごとの進め方をはじめ、相続後の売却手順、税金の種類まで詳しく解説します。
親の土地を売却する4つのケースと基本の流れ
親の土地を売却する方法は、親が亡くなった後に相続して売る場合、認知症などで判断能力が低下している場合、親本人が売却代金を受け取る場合、子が代金を受け取る場合の4つに分けて考えられます。
名義や判断能力、税金によって必要な手続きが異なるため、まず自分がどのケースに当てはまるか確認しましょう。
以下では、親の土地を売却する際の4つの手順について解説します。
親が亡くなり相続後に売却するケース
親が亡くなった後に土地を売却する場合は、相続人や取得者を確定し、相続登記を済ませてから売却手続きへ進むのが基本です。
その際、遺産分割協議を行う場合は、誰が土地を取得するのかを相続人間で決め、協議内容を書面に残します。
また、2024年4月から相続登記は義務化されているため、売却予定の有無にかかわらず期限を意識して手続きを進めることが大切です。
相続関係が複雑な場合は、司法書士などへの相談も検討しましょう。
親が認知症になった場合の売却ケース
親が認知症になった場合でも、診断名だけで直ちに売却できなくなるわけではなく、契約内容を理解して判断できる能力があるかが重要です。
意思能力が十分でない場合は、家族が勝手に売却することはできず、成年後見制度の利用を検討します。
その後、家庭裁判所が成年後見人を選任した後は、本人の利益を優先して財産管理や契約を進めます。
また、居住用不動産を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要になるため、早めに手続きの流れを確認しましょう。
診断名だけで判断せず、実際の意思能力を確認することが重要です。
親が健在で本人が売却代金を受け取るケース
親が健在で十分な意思能力があり、本人が土地を売却して代金も受け取る場合は、親自身が売主として手続きを進めます。
その際、子が書類準備や不動産会社との連絡を手伝うことはできますが、売却条件の決定や契約は本人の意思に基づくことが前提です。
また、親が遠方に住んでいる場合や外出が難しい場合は、委任状を作成して子を代理人にする方法もあります。
売却代金は原則として親に帰属するため、子へ移す場合は別途贈与などの税務上の扱いも確認しましょう。
代理手続きでは、委任する範囲も明確にしておきましょう。
親が健在で子が売却代金を受け取るケース
親が健在のまま子が売却代金を受け取りたい場合は、土地そのものを子へ贈与してから売却する方法と、親が売却した後に現金を子へ贈与する方法があります。
また、どちらを選んでも、贈与税や譲渡所得に対する税金、登記費用などが関係するかもしれません。
そのため、単に子の口座へ売却代金を振り込めばよいわけではないため、土地の評価額や売却予定額を確認し、税負担を比較して決めることが重要です。
金額が大きい場合は、税理士へ事前に相談すると安心です。
親が亡くなった後に土地を売却する手順
親が亡くなった土地を売却する場合は、相続人と財産を確認したうえで、遺産分割協議、相続登記、売却の順に進めるのが一般的です。
土地の取得者や共有状態によって必要な手続きが変わるため、売却活動を始める前に権利関係を整理しておくことが重要です。
以下で、具体的な手順について解説します。
STEP1:相続人全員での遺産分割協議
遺言などで取得者が決まっていない場合は、遺産分割協議で取得者や売却方法を決める方法のほか、法定相続分で共同相続したうえで共有者全員で売却する方法もあります。
その際、換価分割として売却代金を分ける場合でも、名義や売却方法、代金の分配方法を明確にしておくことが大切です。
協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員で内容を確認します。
一方、意見が一致しない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法もあるため、感情的な対立が深まる前に専門家へ相談しましょう。
協議の前提となる相続人の範囲も正確に確認してください。
STEP2:法務局での相続登記(名義変更)
売却する土地の取得者が決まったら、法務局で相続登記を行い、登記名義を親から相続人へ変更します。
その際、相続登記には、戸籍関係書類や遺産分割協議書、固定資産評価額を確認できる書類などが必要です。
必要書類は相続の方法によって異なるため、法務局の案内を確認して準備しましょう。
相続登記が完了すれば、買主への所有権移転登記を進められる状態になります。
また、手続きに不安がある場合は、司法書士へ依頼する方法もあります。
売却予定がある場合は、早めの申請を意識しましょう。
相続登記を自分で行う場合の進め方
相続登記は、必要書類をそろえて登記申請書を作成すれば、自分で法務局へ申請することも可能です。
まず、被相続人と相続人の戸籍類、住民票関係書類、遺産分割協議書など、相続内容に応じた書類を準備します。
また、法務局では申請書の様式や記載例が公開されているため、事前に確認すると進めやすくなります。
ただし、数次相続や代襲相続など権利関係が複雑な場合は確認事項が増えるため、無理に自分だけで進めず司法書士への相談も検討しましょう。
申請後に補正を求められる場合もあるため、余裕を持って進めてください。
司法書士に依頼するメリットと費用相場
司法書士へ依頼すると、相続関係の確認、必要書類の案内、登記申請書の作成、法務局への申請などを任せられます。
特に、相続人が多い場合や、過去の相続登記が済んでいない場合などは、手続きの負担を減らしやすい点がメリットです。
また、報酬は依頼内容や土地の筆数、相続関係の複雑さによって異なり、登録免許税や戸籍取得費などの実費も別途必要になります。
料金だけで判断せず、対応範囲を確認したうえで見積もりを比較するとよいでしょう。
依頼前に報酬と実費の内訳を確認しておくと安心です。
STEP3:不動産会社を通じた土地の売却
相続登記が済んだら、不動産会社へ査定を依頼し、土地の売却活動を進めます。
その際、査定額だけでなく、周辺の成約事例や販売方針、担当者の説明内容も比較して依頼先を選ぶことが大切です。
媒介契約を結ぶと、不動産会社が広告掲載や購入希望者への案内、条件交渉などを行います。
その後、買主が決まった後は売買契約を締結し、代金決済と所有権移転登記を経て引き渡します。
相続人間で売却代金を分ける場合は、分配方法も事前に確認しておきましょう。
親の土地をスムーズに売却するためのポイント
親の土地を円滑に売却するには、権利関係を早めに整理し、必要書類や税金を確認したうえで売却活動へ進むことが大切です。
相続人や共有者が複数いる場合は、価格や分配方法について認識をそろえておくとトラブルを防ぎやすくなります。
以下では、売却前に押さえたいポイントを解説します。
相続人全員から売却の同意を得ておく
相続した土地が共有名義になっている場合、土地全体を売却するには共有者全員の合意が必要です。
一方、遺産分割前であれば、誰が土地を取得し、どのように売却代金を分けるのかを相続人間で協議しておくことが重要です。
売却価格や費用負担、代金の分配方法まで事前に整理し、合意内容を書面に残すと後の認識違いを防ぎやすくなります。
なお、単独所有となった土地であれば、他の相続人全員の売却同意が常に必要なわけではないため、現在の登記名義を確認して判断しましょう。
複数の不動産会社へ一括査定を依頼する
土地の査定額や販売方針は不動産会社によって異なるため、複数社から査定を受けて比較する方法があります。
一括査定サービスを利用すれば複数社へまとめて依頼できますが、査定額が最も高い会社が必ず高値で売却できるとは限りません。
そのため、査定の根拠や周辺の成約事例、販売戦略、担当者の対応なども確認することが大切です。
また、地域や土地の種類によって得意な会社は異なります。
査定価格だけで決めず、実際の売却までどのように支援してくれるかを比較して媒介先を選びましょう。
親の土地売却でかかる税金の種類
親の土地を売却すると、譲渡所得に対する所得税・住民税、売買契約書の印紙税などが関係します。
相続や贈与を経て取得した場合は、相続税や贈与税、登録免許税などが別途発生することもあるでしょう。
税金は取得経緯や利益の有無で変わるため、ここでは種類ごとに解説します。
共通してかかる譲渡所得税と住民税
土地を売却して利益が出た場合は、その譲渡所得に対して所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。
売却価格そのものに課税されるのではなく、原則として売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算します。
また、税率は売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで長期と短期に分かれるものです。
なお、利益が出なければ譲渡所得に対する税金が発生しない場合もあるため、「土地を売れば必ず税金がかかる」と考えず、取得費や諸費用を確認して計算しましょう。
契約書に貼付する印紙税と復興特別所得税
土地の売買契約書を紙で作成する場合は、契約金額に応じた印紙税がかかります。
一定期間に作成される不動産譲渡契約書には軽減措置があり、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合は軽減後の税額が1万円となるケースも少なくありません。
一方、電子契約では紙の課税文書を作成しないため、印紙税が生じない場合があります。
また、土地の譲渡所得に所得税が発生するときは復興特別所得税もあわせて計算されます。
相続で取得した場合にかかる相続税
親から土地を相続した場合でも、必ず相続税が発生するわけではありません。
相続税は土地だけでなく、預貯金や建物などを含む課税価格の合計額を基に計算し、基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合に申告が必要となるのが基本です。
また、相続税の申告・納付期限は原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
ただし、特例の適用によって申告が必要になる場合もあるため、課税額だけでなく申告要件も確認しましょう。
贈与で取得した場合にかかる贈与税
親から土地の贈与を受けた場合は、原則として贈与を受けた子が贈与税を申告・納付します。
暦年課税では、その年に受けた贈与財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いて税額を計算します。
親や祖父母から一定年齢以上の子や孫への贈与では特例税率が適用される場合もあります。
また、相続時精算課税制度を選択できるケースもありますが、将来の相続税計算へ影響するため注意が必要です。
ただし、土地は評価額が大きくなりやすいため、贈与前に税額と諸費用を試算しておきましょう。
名義変更で発生する登録免許税
土地の名義を変更する登記では、登記原因に応じて登録免許税がかかります。
相続による所有権移転登記では、原則として固定資産税評価額の0.4%が税率です。
一方、贈与による所有権移転登記は原則2%となり、相続より負担が大きくなります。
売買による土地の所有権移転登記には軽減措置が適用される期間もあるため、常に2%とは限りません。
また、一定の相続登記には免税措置が設けられている場合もあります。
登記原因と適用時期を確認して税額を計算しましょう。
まとめ:親の土地を売却する方法と税金対策のポイント
親の土地を売却する際は、親が亡くなっているのか、認知症などで判断能力が低下しているのか、本人が健在なのかによって手続きが大きく異なります。
相続後に売却する場合は相続登記、意思能力が十分でない場合は成年後見制度の利用など、状況に応じた対応が必要です。
また、売却益には譲渡所得に対する税金がかかる場合があり、相続や贈与を経て取得した土地では相続税や贈与税、登録免許税なども関係します。
取得費加算や3,000万円特別控除などの特例を利用できる可能性もあるため、売却前に適用条件を確認しましょう。
手続きや税額の判断に迷う場合は、司法書士や税理士、不動産会社などへ早めに相談することが大切です。

