コラム

公開日 2026.08.26 更新日 2026.09.24

いらない土地はどうする?手放す6つの方法と活用の選び方

相続した土地に使い道がなく、売りに出しても買い手がつかないケースは少なくありません。

それでも所有している限り、税金と管理の責任はついて回ります。

土地を手放す手段は6つあり、使えるものは相続の段階・建物の有無・境界の状態で決まります。

この記事では、公的機関の情報をもとに、土地を手放すための条件費用、貸して活かす選択肢まで整理しました。

いらない土地を持ち続けた場合のリスク

使い道のない土地を保有すると、税金・管理責任・相続の複雑化という3つの負担が毎年積み上がります。

放置は費用のかからない選択に見えて、支出の合計が最も大きくなりやすい道でもあります。

以下ではリスクを3つに分けて整理していきます。

固定資産税・都市計画税と維持管理費の負担

土地の固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課され、使っていなくても納税義務は消えません。

標準税率1.4%に加え、市街化区域内なら上乗せされる都市計画税が最大0.3%です(出典:総務省「固定資産税」)。

評価額1,000万円なら両方で年17万円ほどで、遠方なら草刈りの委託費が年10万円前後加わります。

年30万円なら10年で300万円になり、持ち出しをしてでも手放す判断が妥当か比べられます。

管理責任と損害賠償のリスク

管理が行き届かない土地では、所有者が損害賠償や行政処分の対象になります。

建物が残っていると、市区町村から「特定空家等」に指定されるおそれも出てきます。

加えて、令和5年の改正では、その手前の「管理不全空家等」への勧告制度も設けられました(出典:国土交通省の空家法改正資料)。

勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、命令違反には50万円以下の過料と行政代執行の費用負担が生じます。

次世代への問題の先送り

何も決めないまま次の相続が起きると、選べる手段はむしろ減ります。

相続人が2人、4人、8人と増えるほど、売却にも寄付にも全員の同意が必要になるためです。

令和6年4月1日からは相続登記も義務化され、3年以内に申請せず正当な理由もなければ10万円以下の過料の対象です(出典:法務省の相続登記義務化ページ)。

もし、親が存命のうちに親子で方針を決められるなら、それが最も選択肢の多い状態といえます。

いらない土地の所有権を放棄できない理由

現行法には土地の所有権を単独で放棄する手続きがなく、いらないと言うだけでは手放せません。

混乱のもとは、民法第239条第2項の「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」という条文です(参照:e-Gov法令検索の民法)。

土地を手放す方法は複数ありますが、法的な仕組みは主に3つです。

1つ目は譲渡で、売買・贈与・交換のいずれも受け取る相手が必要です。

2つ目は相続放棄で、相続する前の限られた期間にしか選べません。

3つ目は相続土地国庫帰属制度で、審査に通った土地だけを国が引き取る仕組みです。

いらない土地を手放す6つの方法

手放すための具体的な方法は、売却・空き家バンクへの登録・寄付や無償譲渡・相続放棄・相続土地国庫帰属制度・有料の引き取りサービスの6つです。

ただし、どれも誰でも使えるわけではなく、条件・費用・完了までの期間も大きく異なります。

そこで以下では、それぞれの条件や特徴を整理していきます。

売却する

現金化できる可能性が残っているうちは、売却が第1の候補です。

仲介は市場価格に近い金額で売れる余地がありますが、買い手が現れる時期は予測できません。

一方、買取は不動産会社が直接買うため早く確実ですが、価格は市場より下がる傾向があります。

田舎の土地なら、自分の敷地と一体で使える隣地の所有者が最初の打診先になるでしょう。

また、売れたときの譲渡所得税は所有期間で変わります。

所有期間が5年超なら所得税15%と住民税5%、5年以下なら30%と9%です(出典:国税庁 No.3208)。

今後、保有10年で維持費が300万円かかる土地なら、値を下げてでも売り切るほうが総額は小さく済みます。

空き家バンク・マッチングサイトで引受先を探す

仲介で断られた土地でも、全国から引受先を探す場は残っています。

自治体の空き家バンクや民間の土地マッチングサイトに登録でき、仲介手数料はかかりません。

国土交通省は各自治体の情報を集約した「全国版空き家・空き地バンク」を運営しています(参照:国土交通省の空き家・空き地バンク情報)。

また、現況写真と境界資料の用意、問い合わせ対応、契約書の作成依頼は自分で進めます。

半年から1年掲載して反応がなければ、国庫帰属制度や引き取りサービスへ切り替える目安です。

寄付・無償譲渡する

無償で渡すのだから簡単だと考えると、思わぬ税金に行き着きます。

自治体は寄付を受けると固定資産税を取れなくなるため、公共用地の使い道がなければ受け入れません。

一方、道路や公園の用地として需要があれば、寄付ではなく買取を申し出られる場合もあります。

個人へ渡すと受け取った側に贈与税がかかり、基礎控除110万円を超えた部分が課税対象です(出典:国税庁 No.4402)。

法人へ渡した場合は、渡した側に時価で売ったとみなして所得税が課されます(出典:国税庁 No.3217)。

このように、代金は入らないのに登記費用と税金だけが発生るため、手取りではマイナスになりかねません。

相続放棄する

放棄できるのは相続する前だけで、土地だけを選んで外すことはできません。

なぜなら、相続するはずだった財産と債務のすべてを承継しない手続きだからです。

1つ目の注意点は期限で、相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述します。

費用は申述人1人につき収入印紙800円などです(参照:裁判所の相続放棄の申述ページ)。

2つ目は単純承認で、期間中に故人の預貯金を使ったり土地を売ったりすると相続を認めたとみなされます。

3つ目は撤回で、申述が受理されたあとに気が変わっても取り消せません。

相続土地国庫帰属制度を利用する

相続や遺贈で取得した土地に限り、審査を通れば国に引き取ってもらえます。

令和5年4月27日に始まった制度で、開始前に相続した土地も対象です(出典:法務省の制度概要)。

ただし、建物がある土地、担保権が設定された土地、他人の利用が予定されている土地は申請の段階で却下です。

同じく土壌汚染や境界が不明な土地も却下されます。

一方、勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、通常の管理に過分の費用や労力がかかる土地は不承認です(出典:法務省の要件一覧)。

また、申請時には土地1筆あたり14,000円の審査手数料を納め、却下や不承認でも返還されません。

承認後の負担金は原則20万円で、市街化区域内の宅地や農地、森林は面積に応じて算定されます(参照:法務省の負担金ページ)。

手続きは法務局本局への事前相談から始まり、申請書と図面の提出、審査、負担金の納付と進みます。

なお、法務省の統計では、令和8年5月31日現在で申請5,545件に対し承認2,762件でした(参照:法務省の統計ページ)。

申請すれば必ず引き取ってもらえる制度ではないと、この数字が示しています。

有料の引き取りサービスを利用する

引取料を払って所有権を移す民間サービスもありますが、契約内容の確認が欠かせません。

国土交通省のヒアリングでは、受領された引取料は15万円から500万円の幅がありました(参照:国土交通省の引取サービス資料)。

同省は留意点として、契約前に費用と引き取り条件の明確な説明を受けることを挙げました。

契約不適合責任が全部免責となる点も、十分な説明と契約書への明記が要ると示されています。

確かめたいのは、登記名義が実際に移るか、移転時期が契約書にあるかの2点です。

土地を手放さずに収益化する方法

手放す手段がどれも使えない土地でも、貸して収入を得る道が残っている場合があるため、以下で3つに分けて紹介していきます。

ただし、所有者である限り、税金と管理責任はなくなりません。

駐車場・資材置き場にする

月極駐車場や資材置き場は、整地だけで始められるため、初期費用を小さく抑えられ、国道沿いや工場の周辺の土地に適しています。

目安は、年間の賃料が固定資産税を上回るかどうかです。

例えば、月1万5,000円で貸せれば年18万円となり、年17万円の税負担ならぎりぎり相殺できます。

ただし、住宅用地の特例が適用されていた土地では、更地にした時点で特例が外れます。

太陽光発電用地として活用する

広さと日照条件がそろう土地では、野立ての太陽光発電が候補に入ります。

2025年に設置された事業用太陽光(地上設置・10kW以上)のシステム費用は平均20.3万円/kWでした(参照:経済産業省の算定委員会資料)。

50kWの設備なら1,000万円前後という規模感です。

なお、買取価格は年度ごとに見直され、着手時期で回収年数が変わります。

設置前に系統接続の可否と、農地なら転用許可の見通しを確かめてください。

隣地所有者や地元事業者に貸し出す

設備投資をせずに済ませたいなら、周辺の使い手へ直接貸す方法があります。

相手になるのは隣地の所有者、地元の農業者、資材置き場を探す事業者などです。

ただし、借り手が限られるぶん賃料は低く、年間の税負担を埋める程度と見ておくのが現実的です。

契約では期間と更新の条件、返還時に土地をどの状態で戻すかを決めておきます。

土地の条件別に見る手段の選び方

使える手段は、相続の段階や建物の有無・境界と権利関係の整理状況によっておおむね決まります。

まずはこれらの状況を確認し、手放す方法と所有したまま活用する方法から、条件に合う手段を絞り込みましょう。

第三者に試算を依頼する場合の進め方は、土地活用コンサルティングの事業内容にまとまっています。

相続の段階と建物の有無による絞り込み

相続開始を知ってから3か月以内であれば、相続放棄という手段が残っています。

すでに相続していれば、候補は売却、空き家バンクへの登録、寄付・無償譲渡、国庫帰属制度、引き取りサービスに絞られます。

ただし、建物が残っていると国庫帰属制度は却下されるため、解体費を負担して引き渡すか建物付きのまま売却するかをここで決めましょう。

いずれの方法でも手放すことが難しいなら、立地に需要があるかを見て活用の検討に移ります。

費用と手放すまでの期間の比較

同じ「手放す」でも、お金の向きと必要な時間はまったく違います。

国庫帰属制度なら手数料と負担金で21万4,000円以上、引き取りサービスなら15万円以上が必要です。

手段費用の向き期間の目安
売却代金を受け取れる可能性がある(仲介手数料・譲渡所得税は差し引き)数か月〜長期
空き家バンク・マッチングサイト手数料はかからないが自分の手間がかかる掲載から数か月〜1年
寄付・無償譲渡代金はなく、登記費用や贈与税等の負担が生じうる相手の受け入れ次第
相続放棄収入印紙800円ほか(3か月の期限あり)申述から1〜2か月
相続土地国庫帰属制度審査手数料14,000円+負担金原則20万円事前相談から半年以上を見込む
有料の引き取りサービス引取料15万〜500万円の事例がある契約次第
保有して活用初期費用は駐車場でほぼゼロ、太陽光で1,000万円前後所有と管理は続く

注意したいのは、相続放棄の3か月が期限であるのに対し、国庫帰属制度の半年以上は手続きにかかる期間の目安だという点です。

なお、金額も期間も2026年8月時点の目安であり、土地の条件によって動きます。

いらない土地を手放す前に確認すべきこと

どの手段を選んでも、登記・境界・地目のいずれかが未整理だと入口で止まります。

なぜなら、売買契約も国庫帰属の申請も、名義と範囲がはっきりしていることが前提だからです(参考:土地活用に関するよくある質問)。

手放す手段を選ぶ前に、以下のポイントを確認しておきましょう。

相続登記の完了状況

名義が亡くなった方のままでは、売ることも国に引き渡すこともできません。

令和6年4月1日以降、相続人は取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います(出典:法務省の相続登記義務化ページ)。

なお、期限に間に合わないときは、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を履行できます(参照:法務省の相続人申告登記ページ)。

過料を避けるためというより、処分の前提条件として先に片づけておくのが実務的です。

境界の確定状況

境界があいまいな土地は、買い手からも国からも敬遠され、国庫帰属制度でも、境界が明らかでない土地は却下事由になります。

そのため、まず法務局の公図と登記事項証明書で現状を確かめ、争いがあれば筆界特定制度も使えます。

申請手数料は対象2筆の評価額の合計が4,000万円なら8,000円です(参照:法務局の筆界特定Q&A)。

地目・用途制限の有無

地目が農地であれば、売る相手も使い道も法律で制限されます。

また、市街化調整区域内の土地も、建てられるものが限られるため買い手が絞られます。

出発点は、登記事項証明書の地目欄と、市区町村の都市計画窓口での用途地域の確認です。

いらない土地に関するよくある質問

いらない土地はどうしたらいいですか、という問いの答えは相続の段階と建物の有無で変わります。

相続前なら相続放棄、相続後は売却と国庫帰属制度、建物があれば解体か建物付きでの売却が起点です。

田舎の土地を放置すると固定資産税と管理費用が毎年発生し、建物があれば勧告を受けるおそれもあります。

国に返す費用は、審査手数料が土地1筆あたり14,000円、承認後の負担金が原則20万円です。

また、相続放棄で土地だけを外せるかという問いの答えは、外せません。

まとめ|いらない土地の処分と活用の判断基準

いらない土地を手放す手段は6つあり、使えるものは相続の段階・建物の有無・境界の状態で決まります。

まず自分の土地がこの3条件のどこに当たるかを確定させることが、最初の一手です。

また、手放す費用を負担するより貸して回すほうが合理的な土地もあります。

どちらが得かは、保有した場合の総額と手放すまでの費用を同じ表に並べないと見えてきません。

株式会社土地活用コンサルティングは、ハウスメーカーや不動産会社に属さない第三者の立場で土地を分析しています。

「やらない」という結論も含めて数字で比べたい場合の相談先として検討してください。

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